<イスラム国拘束事件>もし自衛隊が海外の日本人を救出する場合、そのハードルは?
昨年7月の閣議決定の新方針
2014年7月に閣議決定された新方針では、この他、自衛隊が海外で日本人を救出するために出動することが検討され、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などいわゆる3要件を満たす場合には可能と考えられました。もちろんこの場合も相手国の同意は必要です。 しかし、最近発生した「イスラム国」による日本人の拘束のような場合には、この要件を満たすと言えないのではないかと思われます。また、同意を求める相手国はイラクか、シリアか、国家ではないのであり得ませんが「イスラム国」か、ということも問題になります。 「イスラム国」の関係から離れて一般論として考えますと、仮に憲法に照らして問題ないと判断された場合にも、特別の法律を制定して自衛隊の行動準則を明確にするのが通例です。平和維持活動の場合は最初から法律を制定しました。海賊対策の場合は、当初、自衛隊法ですでに想定されている「海上警備行動」と性格付けられましたが、すぐ後で海賊対策のための特別法が制定されました。将来邦人を救出する場合にもやはり特別の法律を制定することとなると思われます。 なお、法的な問題をクリアできても、自衛隊が邦人を救出するには特別の訓練・装備が必要です。 (美根慶樹・平和外交研究所)