「監督でもやらない」矢野氏と「監督しかやらない」福留氏 中日人事難航で、落合氏「もう辞めたいのに……」出戻りの異常事態
福留氏は要請にさえ至らず
2軍監督の人事では、前代未聞と言える“出戻り”があった。立浪前監督の盟友で、ともに今季限りでの退任が発表されていた落合英二氏(55)の復帰が10月28日に発表されたのだ。退任発表からわずか20日余りの出来事だった。 2軍監督を巡っては、有力OBである福留孝介氏(47)が昨オフにPL学園高(大阪)の先輩である立浪前監督から就任を要請されたものの難色を示したとされている。福留氏は井上氏も現役時代の先輩で、しかも同郷(鹿児島)という関係だが、前出の球団関係者によると、監督のポストにしか興味がないのだという。 「孝介は大先輩のタツの2軍監督の依頼を断りましたからね。一樹が頼んだとしても受けられるはずがないでしょう。今回は構想にも入っていませんでした。一樹はタツの了承をもらって『英二さんしかいない』などと説得し、何とか(落合2軍監督の)就任にこぎ着けたのですが……。英二は『もう辞めたいのに…』と話していたので、無理を言ったようですね」 ヘッド、2軍監督は1軍監督とは一心同体の要職だけに、ここまでのプロセスを見る限りは前途多難と言うしかない。
OBは新監督に冷ややか
井上監督は現役時代、中日一筋にプレーしたものの外野の控え要員だった。生え抜き選手としては立浪前監督をはじめ山本昌、岩瀬仁紀両投手や荒木雅博、井端弘和両元内野手、もちろん福留外野手にも実績、知名度で遠く及ばない。 「OB連中は一樹が監督になったことを冷ややかな目で見ています。名古屋はドラゴンズに関して保守的で、いまだに選手時代の実績を重んじる風潮が強いんです。あの実績(通算863安打)で補欠だった一樹がなぜ監督になれるんだという声は根強い。タツが監督なら仕方ないが、一樹では面白くないと思っている、特に年長のOBが少なくないのです」(前出OB) 確かに監督の人選が新聞の売り上げに直結していた以前なら実現し得なかった人選だろう。中日監督の系譜には星野仙一氏、落合博満氏、高木守道氏ら知名度が高かったり、地元との結び付きが強かったりした野球人が名を連ねたからだ。 しかし、時代の変化とともに人選の基準も変わった。 「昔は監督が誰かで中日スポーツの売り上げが左右されていました。今は新聞の部数減で、監督のネームバリューをさほど重視しなくなりました。むしろ大物だと何かとおカネがかかるので、球団は敬遠する傾向がありますから」(前出の球団関係者)