コミュニティー食堂が健康で豊かな生活を支える場に
【東方新報】「今日は家で料理をする気がしないな」というとき、家の近くにある社区(コミュニティー)食堂で温かいおかずをテイクアウトしたり、食堂で手軽な家庭料理を楽しんだりすることが、今では多くの上海市民の日常になっている。 上海市では、食堂が「SNS映え」スポットになることは珍しくない。夏には、暑さを和らげて食欲をそそる新メニューが登場したり、新鮮な食材を使った料理が提供され、そのまま温かいままで味わえる。また、食堂は高齢者に優しい設備に改装され、メニューの栄養成分がスクリーンで簡単に確認できるなど、上海のコミュニティー食堂はどんどん進化している。今では、料理の美味しさだけでなく、食堂の環境やサービスも評価の対象となり、多くの食堂が栄養士の指導を受けるなど、競争が激化している。 ■コミュニティー食堂が15分圏内の「生活標準」に 「私が選んだおかずは、脂身の少ない肉、魚と卵の煮物、季節の野菜、全部で30元(約円)以下です。この料理は柔らかく、年配の方や子どもでも食べやすいです」と、上海郊外に住む張(Zhang)さんは、孫を連れて近くの「我嘉餐廳コミュニティー食堂」に来て、料理と価格に満足していた。「明日はここで三鮮湯(中国料理の一つで、三つの主要な食材を使ったスープ)と焼きソーセージがあるので、孫もまた来たいと言っていた」と張さんは言った。 市街地でもコミュニティー食堂は人気だ。老舗「豊裕生煎」は、コミュニティー食堂として新たにサービスを開始し、老人向けに割引価格で食事を提供している。 現在、上海のコミュニティー食堂や老年助餐点(高齢者向け食事提供所)は、政府が設立し、第三者の専門機関が運営している。政府が場所や設備を提供し、公共料金の優遇措置もある。市区の財政から補助金も提供されている。 2023年末時点で、上海には346のコミュニティー食堂と1500を超える老年助餐点があり、日々20万食を提供できる体制が整っている。今年はさらに30か所を新設する予定だ。 ■注文後に調理、安心して食べられる食堂 人工知能(AI)技術を取り入れた食堂では、美味しい料理とテクノロジーが住民を引きつけている。料理長の陳(Chen)さんは、ロボットアシスタントの助けを借りて、自動調理や精算を実現し、高齢者向けの配慮も行っている。 徐匯区(Xuhui)田林社区の「千鶴コミュニティー食堂」では、スマートキッチン機器が揃っており、住民は料理の調理過程を直接見ることができる。注文後に調理するスタイルは、安心感を提供しつつ、食堂の「日常生活の温かみ」を強調している。 ■健康で栄養のある食事を提供 2023年に上海市「健康食堂」の称号を授与された漕河涇コミュニティー食堂では、通常の食事から特別なニーズに応じた食事まで提供され、栄養成分が詳細に記載されている。食堂は「減塩、減油、減糖」の「三減」原則を守り、栄養成分をスクリーンで表示して、住民が健康的な食事を計画できるよう支援している。 ■時間を有効活用して多様なニーズに応える 長寧区(Changning)安化路にある「華陽コミュニティー食堂」は、食事の提供がない時間帯に宅配やデリバリーの配達員に休憩スペースを提供している。 オフィスビルの近くにあるコミュニティー食堂が、オフィスワーカーと住民の両方に対応できるかどうかも重要だ。徐匯区虹梅街道では、時間帯に合わせて2つのメニューを提供している。10時半からは中高年向けに柔らかくてあっさりした料理を、12時頃にはオフィスワーカー向けの味付けの料理を提供している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。