【ベトナム】アサヒ系、ワイン市場を開拓 高島屋に店舗、卸しと両輪
アサヒビール傘下でワインの輸入販売を手がけるエノテカ(東京都港区)は25日、ベトナム南部ホーチミン市1区で同国1号店をオープンした。中価格帯から高級品まで幅広く取りそろえ、拡大が続く現地ワイン市場を開拓する。小売店舗によりブランドの構築を図るとともに、卸売事業も始め高級ホテルや外食店の需要の取り込みを図る。 1号店はホーチミン高島屋に出店した。現在は試験営業の段階で12月中旬に本格オープンする。広さは87平方メートルで、カウンターバーやテーブル席を併設し、試飲会などのイベントを開催していく。 取り扱うワインは欧州産やオーストラリア産などを中心に約340種類で、段階的に増やしていく。価格は3,000円相当の手頃な価格帯から、25万円を超えるビンテージワインまで幅広い。 現地法人エノテカベトナムの麻生基貴最高経営責任者(CEO)はベトナム市場について「可処分所得が高くないが、消費意欲が旺盛」と期待する。高価格帯のワインが豊富なワインショップが少なく、開拓余地があるとみているという。「エノテカが取りそろえる上質なプレミアムワインを飲めば、(高価格でも)価値を理解してもらえる」と自信を見せた。 ■品質管理を徹底 麻生氏によれば、プレミアムワインを扱うショップがベトナムで少ない理由の一つが繊細なワインの品質を管理できる店が少ないためだ。 エノテカは自社で手配した空調を店舗に取り付け、24時間一定の温度を保つ。自社倉庫を保有し、配送も自社で手がける。これまで品質管理の観点からベトナムへの輸出に二の足を踏んでいた生産者も「エノテカが進出するなら安心」と販売を任してくれているという。 高島屋の店舗は「ワインを味わい、知ってもらう」ことが主な狙い。店舗設計は日本のエノテカと同様に國重空間設計(東京都渋谷区)が手がけた。ラウンジやバーのいすも日本やイタリアから取り寄せた。首都ハノイで高島屋が計画している百貨店にも出店を検討している。 ■ミシュラン店などに販売 エノテカベトナムはワインショップのオープンと合わせて卸売りも開始した。外資ブランドの高級ホテルや飲食店を開拓していく。麻生氏は「5つ星ホテルやミシュラン星付きレストランとは全て取引したい」と意気込む。 ドイツの調査会社スタティスタによれば、ベトナムのワイン市場は21年以降、年率約2.79%で成長し、市場規模は29年に21年比24.6%増の2億6,270万米ドル(約407億円)に達する見込みだ。 エノテカは海外ではベトナム以外では香港、シンガポール、中国、韓国、台湾、タイに販売拠点を展開している。日本と同様に世界各地からワインを直輸入し、商業施設に出店するとともに、レストランやホテルへ卸売りを手がけている。