ストリーミングが変えた 国内外の音楽ヒット傾向【SENSORS】
音楽を楽しむ方法として、すでに一般化したストリーミング。しかし、日本でのサービス展開が本格化したのは2015~16年からと、まだ10年にも満たない。たった数年間でストリーミングが世の中にもたらした功績はとても大きい。ストリーミングとは、従来の方法と違い、インターネットに接続した状態でWeb上の音声データを再生する方法だ。 ストリーミングの登場で、音楽のヒット傾向は大きく変化した。発売から時間が経った楽曲が少しずつ広がってヒットしていくという、新たなパターンが現れたのだ。また、以前よりもずっと日本の曲からグローバルヒットが生まれやすくなった。その背景や具体例を、音楽ビジネスを生業とする3人が紹介する。
1つは、リリース当初の人気は程々でも徐々にチャート上位へ上昇していく楽曲。2つめは、リリース直後から爆発的ヒットとなり人気が持続する楽曲。これらはどのような過程を経てヒットとなるのだろうか。Billboard JAPAN.com編集長 髙嶋直子さんは次のように解説する。 「例えば、Tani Yuukiさんの『W/X/Y』はTikTokで少しずつ広がっていたところ、さらに人気の振付師の方がその曲を使った動画を投稿し、じわじわ口コミのように広がりました。一方、瞬発力があった例としては、米津玄師さんの『KICK BACK』やOfficial髭男dismさんの『Subtitle』があります。これらはタイアップによる相乗効果で爆発力を発揮しました」 直近、音楽業界のみならず世の中に大きな衝撃を与えた楽曲と言えば、2023年4月にリリースされたYOASOBIの「アイドル」だろう。配信直後から多数再生され、チャートイン2週目で2000万回再生を突破。アニメ『推しの子』とのタイアップによる戦略的なマーケティングやSNS効果が相まって、今なおその勢いは止まらない。