亡き父のフライドチキン、35年ぶり復活 福島・いわきにあった精肉店の人気メニュー、子ども食堂で200本提供
福島県いわき市内郷御厩町にあった精肉店「荒井精肉店」の人気メニューだった「ヒナモモ」が21日、昨夏亡くなった店主荒井弘さんの息子丈さん(49)らによって35年ぶりに復活し、地域の子ども食堂で振る舞われた。丈さんは「子どもたちがまた食べたいと思ってくれればうれしい」と笑顔で話した。 ヒナモモは同店がクリスマス限定で販売したフライドチキン。しょうゆやネギ、ショウガ、みりん、砂糖で味付けしたほのかな甘みが特徴の一品だ。店頭のほか、弘さんが自ら配達して販売し、同市内郷地区を中心に人気を集め、「1日500本は売れていた」と丈さんは振り返る。 しかし、1989年のクリスマスの日、ヒナモモの配達中だった弘さんが交通事故に遭ったことをきっかけに、店は閉店。弘さんは昨年8月、病気で亡くなった。 復活のきっかけは、弔問者からの言葉だった。「もう一度、あの味を味わいたい」。このことを丈さんが所属する内郷まちづくり市民会議のメンバーに話し、ヒナモモ復活のプロジェクトが始動。レシピはなかったが、丈さんはきょうだいと記憶を頼りに試作を重ね、思い出の味を再現した。 この日は同会議が主催する子ども食堂で来場者に200本を提供した。「9割くらいの再現度。自分も小さい頃にやったように、子どもたちがばくばく食べてくれてうれしい」と納得の表情で語った丈さん。「また機会を見て作りたい」と意気込んだ。