体が開かず向かっていける阪神・前川 3、5番を任せてもいい 谷佳知氏が称賛
「ロッテ5-4阪神」(31日、ZOZOマリンスタジアム) 阪神・前川右京外野手(21)が六回にプロ初アーチとなる同点2ランを右翼席へたたき込んだ。貧打にあえぐ打線にカツを入れた若虎は3-3の七回2死二塁でも右前タイムリー。9試合ぶりに4点目をもたらした。デイリースポーツ評論家の谷佳知氏は「3番、5番を任せてもいい」と高評価だ。 【写真】頬を膨らませた岡田監督「もうええわ」とだけ言い残し球場を後に ◇ ◇ 前川は今の阪神打線で一番振れている。技術的な部分で言えば、打ちにいく際に体が開かず、投手に対してしっかりと踏み込んでいけるところがいい。下半身もしっかりと使えているから強いスイングができる。 六回の本塁打はファウルで粘り、フルカウントから甘く入ってきた真っすぐを完璧に捉えた。思い切り良く振るだけではなく、相手の投球に合わせていく対応力にも非凡なものがある。 七回の第4打席も見どころがあった。 カーブが2球連続で外れて2ボールとなり、真っすぐ待ちの状況で、高めの真っすぐを詰まりながらも右前に持っていった。詰まってもあそこに持っていけるのは、体が開かず、しっかりと投手に向かっていくことができているからに他ならない。この試合で大きく自信をつけただろうが、あのカウントで、真っすぐ待ちで、詰まらずに右方向により強い打球を打ち返せるようになったら、打者としてもう1つ上のレベルにいけるだろう。 打線の状態がまだまだ万全ではない中、前川に3番、5番を任せてもいいように思う。3番に置くと近本、中野と左が3人続く形になるが、打線のつながりを考えれば、状態がいい前川は選択肢の一つになる。体が開かずに打ちにいくことができるので、慣れていけば左投手にも十分に対応できるはずだ。 他球団は開幕からここまで、阪神の各打者の状態が上がっていないことを踏まえて、思い切ってストライク先行でドンドン投げ込んできている。長打の怖さがないから強気に攻めてきている。それも打線全体が苦しんでいる要因の一つだと思う。 普段対戦していない投手とあたる交流戦では対応がより難しくなるのは確かだが、この試合の前川のように積極的な打撃で結果を出す打者が増えてくれば、相手の攻め方も変わってくる。受け身にならず立ち向かい続けることで、なんとか現状を打破してほしい。