池田小事件「宅間守の遺体」と一夜を過ごした妻
魂を救済したい
由紀子さんが宅間と電撃結婚し、世間をアッと言わせたのは、03年暮れのことだった。世の中には本当に奇特な人がいるものだと大方の人が驚いたことは言うまでもない。それまで、支援者の一人として、主任弁護人の戸谷茂樹氏を通じて宅間に手紙を送っていた由紀子さん。戸谷氏によれば、途中から純粋な支援が愛情的なものに変わっていくのが文面から感じ取れたという。死刑囚は原則として弁護士か家族しか接見や文通が許可されないため、婚姻を決意したようだ。 「結婚した理由を尋ねられ、彼女は、“宅間さんに贖罪(しょくざい)の気持ちを持たせて、彼の魂を救済したいから”と言っていました。刑が執行されたことを私も彼女からの連絡で知ったんですが、電話の向こうで彼女は泣き崩れていました」(戸谷氏) 彼女の出現は、宅間にしてみれば、夢のような話だったはず。由紀子さんは、 「目鼻立ちがすっきりしていて、とても奇麗です」 と、彼女を知る関係者。 「身長は150センチ台半ばで、細身です。髪の毛はショートカットで、切れ長の目をした和風の容貌。頭も良く、一言で表現すれば、理知的な美人ですよ」 ちなみに宅間はそれまで4回も結婚していた。そんな中でも、5人目の妻、由紀子さんは、まるで「妻を娶(めと)らば」の歌を具現化したような女性らしい。 彼女は観光地として有名な和歌山・白浜の出身。地元の高校を卒業した後、大阪や関東に出て、働いていた。テレビの映像制作に携わり、6年前には大阪市内で会社も設立している。 「CS放送の番組を作る孫受けの会社をやっていたようです。テレビショッピングの制作の一部を請け負ったり、地元ローカルのレポートなどをしていると聞きました。ただこれでは食べていけないようで、市内の会社でOLもしていた」 と、知人の一人。 「由紀子さんは死刑廃止論者で、その運動の流れの中で、宅間に支援の手を差し伸べた。彼女はアムネスティの会員ではありませんが、同会やその他の団体が行う死刑廃止を訴える集会には頻繁に参加していました。宅間の『お別れ会』にもアムネスティの人たちが多数、出席していました」 彼女の家族はこの結婚にどういう反応を示したのか。 「両親はさすがに宅間との結婚には猛反対しました。由紀子さんは懸命に説得しましたが、最後は物別れに終わったようです」(同)