外国人旅行者が増えるなか 「日本の美しさをどう守るか」が今後の課題
ジャーナリストの佐々木俊尚が3月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。訪日外国人旅行者が増えるなかで、今後の課題について解説した。
2月の訪日外国人旅行者278万人、2月としては過去最多
日本政府観光局によると、2月の訪日外国人旅行者数は278万人余りとなり、2月としては過去最多となった。旧正月の春節でアジアからの訪日客が増加し、韓国や台湾、アメリカも引き続き堅調で全体を牽引した。 飯田)コロナ禍を経て、単月として最も多くなっている。
観光客が増える一方、温泉施設でルールを守らない外国人観光客も
佐々木)コロナ以前、「日本も観光立国を目指す」という方針で年間6000万人の観光客を目標としていましたが、人数が増えると軋轢も高まる心配があります。先日、北陸に住んでいる知り合いと話したら、最近は日帰りの温浴施設に来る外国人がとても多いそうです。それだけならいいのですが、泳いだりして「ルールを守らない人も多い」と嘆いていました。 飯田)大きな浴槽だと、プールのように見えてしまうかも知れませんね。 佐々木)他にも、かけ湯をしないで入ったり。地方の温浴施設では、英語で「お風呂の入り方」の説明書きがある施設が多いのですが、いちいち読まないですよね。今後、そういうことは増えてくると思います。京都などでもオーバーツーリズムが問題になっているので、各地に外国人が来るのはいいことですが、軋轢をどうかわすのか。この先の大きな課題になると思います。
日本の街の美しさを保っているのは独特な「日本人の秩序」
佐々木)しばらく前にX(旧ツイッター)で話題になった議論があります。日本は無宗教だとみんな思っているではないですか。しかし、日本人にとっての宗教はキリスト教や仏教などのわかりやすい宗教ではなく、「日常生活のこだわりが宗教なのではないか」という議論です。例えば、電車のホームで並ぶなど、日常生活にはさまざまな秩序があります。 飯田)列のラインに沿って並ぶという。 佐々木)公衆トイレも綺麗に使うし、お風呂では、かけ湯をしてしずしずと入るとか。そういうさまざまな秩序が日常生活にたくさんあり、秩序を守ること自体が「我々にとって最も大事なものではないか」と思います。 飯田)子どものころから「他人に迷惑をかけないように」と言われますよね。 佐々木)秩序ばかり言い過ぎて息苦しくなることもありますが、それが日本の街の美しさを保っているのは間違いない。