癒し系がホラーに急変…『ぼくのなつやすみ』プレイヤーを震撼させた「8月32日」の恐怖
■ありえない“夏休み”のはじまり…“8月32日”バグ
上述したように『ぼくのなつやすみ』は、一人の少年が田舎でおくる“夏休み”を追体験するゲームなのだが、“8月31日”を迎えると夏休みが終わってしまうため、そこでゲームもエンディングへと突入する。 ゲーム内の行動によっていくつかパターンが分かれはするが、ボクは名残惜しみながらも、思い出が詰まった「月夜野」の地を離れることとなる。 しかし、“とある条件”を満たすと、エンディングに突入せずに8月31日の先……すなわち、存在しない“8月32日”へとゲームが進行してしまう“バグ”が存在している。 本来、1日の終わりに絵日記を書く画面では、画面左上の「電気スタンドのヒモ」を選択することで絵日記を書いて寝ることができ、次の日へと時間軸が移行する。この「電気スタンドのヒモ」、昼間は画像がないため存在していないように見えるのだが、実はしっかりと“判定”だけが残っており、プレイヤーはなにもない空間を選択することができるのだ。 要は、夜に限らず問答無用で次の日へと進むことができるのだが、ゲームのクリアのデータから確認できる「絵日記」画面でこのバグを利用すると、本来は存在しない“8月32日”が始まるのである。 あり得ないデータを無理やり読み込む影響から、“8月32日”はとにかく奇怪な現象が、そこかしこで起こり出す。作中の文字が徐々に崩れ始め、登場人物たちのグラフィックが壊れるなど、平和だったはずの田舎はまるで“異世界”のような不穏な空気に包まれていくのだ。 人の姿が消えた田舎は本編とは打って変わって不気味で、そのままプレイを続けると普段は入れない空間に移動できたりと、世界観が完全に壊れてしまうのである。 “バグ”によって巻き起こされる無秩序な世界は、これまでのほのぼのとした空気とはあまりにもかけ離れたもので、この“8月32日バグ”は多くのプレイヤーにトラウマ級の恐怖を植え付けることとなった。