ノサカラボ『シャーロック・ホームズ4』山寺宏一×水島裕が阿吽の呼吸で魅せる!
――そもそも野坂さんが、ノサカラボとして『シャーロック・ホームズ』シリーズを朗読劇で上演しようと思ったのはなぜだったんでしょうか? その上で、このおふたりにホームズとワトスンをお願いした経緯は? 野坂 ノサカラボとして最初の作品が『シャーロック・ホームズ』シリーズで、そこから朗読以外の舞台などもやるようになったんですね。まず「ミステリーをやろう」と思って、伝説的な作品でもある 『シャーロック・ホームズ』をやることにして、その時にはもうおふたりの顔が頭に浮かんでいましたね。そのまますぐに電話して「手伝ってください」って言って、「え? やるの?」と言いつつ「わかったよ」と承諾してくださったんです。 山寺 朗読劇じゃなく、舞台でやろうとは思わなかったの? 野坂 思わなかったですね。先ほども話に出た「ラフィングライブ」の時から、山寺さんは気になることがあると考え込むようなタイプで、裕さんは「山ちゃん、考えすぎだよ~」って声をかける感じだったので、ホームズとワトスンピッタリだなと。 水島 僕は「まあ、なんとかなるんじゃない?」ってタイプだから。 野坂 このふたりがピタッとハマったんですよね。当時、コロナでなかなか舞台もできなくなって、それこそ「ラフィングライブ」もできなくなってしまって、おふたりと一緒にできることはってことで朗読劇ならいけるなとも思ったんですよね。 だから、僕はいつもプロデューサーにも、古い言い方だけど「『シャーロック・ホームズ』が、ノサカラボの一丁目一番地なんだ 」って言ってて、ノサカラボの将来にとっても“核”となる存在であり、数多の公演のひとつじゃなく、『シャーロック・ホームズ』は特別だって思っています。 水島 でもね、これは本当に脚本が大変な作品なんですよ。だって原作はご存じの通り小説ですから。それをセリフで展開する魅力的な朗読に仕上げないといけないわけです。山ちゃんも僕も稽古場で「ああしない? こうしない?」と言って一緒に作っていく部分はありますけど、野坂さんは本当に大変だろうと思います。 野坂 「ラフィングライブ」でも、3人で作っている感じが僕はすごく楽しかったんですよ。この『シャーロック・ホームズ』も3人でつくっているイメージで、脚本でわかりづらい部分があると、山寺さんからも裕さんからも「ここはこういうのどうかな?」「朗読ならこういう言い回しもありじゃない?」といった提案をしてくださるんですね。それはすごく心強いです。 水島 去年の公演で山ちゃんが提案した“歩数”の部分なんかは本当に印象的ですよね。 野坂 そうなんですよ。これはネタバレに関わる部分なので詳しくは言えないんですけど、原作で書かれている描写が、破綻していることで有名ではあるんですけど、山寺さんが自分でも何度も確認したうえで「おかしい!」とおっしゃってね。 山寺 図を描いてましたね。 野坂 朝方にLINEで写真を何枚も送ってきて「ドラマバージョンだとこうなってるんだけど、こうやってやると、建物の幅が……」と指摘してくださって「なので、僕からの提案なんだけど」と解決案を提示して、きちんとシーンを成立させてくれたんです。あれはすごかったです。 山寺 いやいや、朗読劇としての魅力を伝えるのはもちろんですけど、やはり原作が素晴らしいので、その面白さをきちんと伝えなくてはいけないので。これだけ世界中にファンがいる作品なので、すごく難しいことにチャレンジしてると思いますけど、こうやって形になってシリーズとして続けられるのは、すごく嬉しいし、何より脚本の力が大きいと思います。 水島 本当にそうだよね。 野坂 先ほど、楽器の話も出ましたが、今年はフルートが増えます。 水島 そうなんだ!? 野坂 バイオリン、チェロ、クラリネットにビオラ、ピアノにフルートが加わって、さらに豊かな音色をお届けできると思います。 水島 更に生効果音もあって、本当に豊かな空間になると思いますので、ぜひ楽しみにしてください。 山寺 改稿を加えるたびに、キャストの個性が活かされて、どんどん進化していくので、すごく面白くなると思います。ぜひお楽しみにしてください。 取材・文:黒豆直樹 撮影:石阪大輔 <公演情報> ノサカラボ『TASTE OF SOUND WAVE Reading with Live music Sherlock Holmes4』 公演期間:2024年7月13日(土)・7月14日(日) 会場:大手町三井ホール