将軍プラティニに敗れるも「不可能」を可能に、PK失敗のFWが決めた「最も価値ある」ゴール【「奇跡の12ゴール」最強スペインが産声を上げた日】(5)
サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、17歳の天才ラミン・ヤマルの1得点4アシストの活躍もあってEUROで優勝したスペインが、苦しみから這い上がり、無敵艦隊へと名乗りを上げるキッカケとなった「奇跡の試合」。本当にあるんですね、そんなことが…。 ■【画像】「シティを離れるの?」退団説浮上マンC長谷川唯の美人すぎる相棒、「最愛の相手」が登場する意味深投稿に反響「どうか続けて」「すごい太もも」「バルサにおいで」
■ついに「そのとき」が訪れた
この後、マルタの1点を決めたFWデジョルジョがスローインのときの遅延行為で2枚目のイエローカードを受け、退場、スペインはさらに猛攻をかける。後半33分、中盤に引いたゴルディーリョから左ウイングの位置に開いたマセーダ(!)にパスが通り、マセーダが左足できれいなクロスを入れると、サンティリャーナとリンコンが跳び込み、ボールはリンコンの頭からゴールに吸い込まれる。 そして、その2分後には、ボランチのサラビアが持ち上がって右に開いたカラスコに出し、カラスコが追い抜いていくセニョールに渡すと、セニョールが中央に送ったボールをサラビアが得意でない右足でシュート、ゴールを割った。11-1。ついに「あと1点」となった。残り時間は10分。誰もが「奇跡」が生まれようとしているのを疑わなかった。 そして4分後の後半39分、ついに、そのときが訪れる。右インサイドをビクトル・ムニョスが持ち上がり、内側にサポートしたセニョールとのワンツーで抜け出そうとしたが、相手に防がれる。しかし、マルタのDFがかろうじて触れたボールが転がったところに、セニョールが走り込んでいた。ペナルティーエリアの縁あたり、17メートルから左足を振り抜いたシュートは、マルタ・ゴールの左隅を突き破った。試合開始直後にPKを失敗したセニョールだったが、スペインにとって最も価値のあるゴールを決めたのだ。
■ラウドルップの「デンマーク」を撃破
12-1。これでスペインは勝ち点13でオランダと並び、得失点差も同じ+16ながら、総得点が24になってオランダの22を上回り、欧州選手権フランス1984へのチケットをもぎ取ったのだった。 翌年夏、フランスで開催された欧州選手権に出場したスペインは、ルーマニアとポルトガルにともに1-1で引き分けて迎えた第3戦、終了間際のマセーダの鮮やかなダイビングヘッドで西ドイツを1-0で破り、準決勝に進出。ミカエル・ラウドルップなどの成長で「デーニッシュ・ダイナマイト」と呼ばれて急速に力をつけてきたデンマークを1-1からPK戦5-4で勝利。決勝ではミシェル・プラティニのフランスに0-2で敗れたが、スペインにとって久々のメジャー大会での「ファイナル進出」に、国内は大きく沸いた。
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