F1引き継いだリバティ・メディアは”幸運”だった? 未開拓のソーシャルメディア活用し大きく成長
2017年にF1の新オーナーとなったリバティ・メディア。グレッグ・マフェイCEOはF1をどう変えてきたかを振り返り、その進歩の一部は、F1がソーシャルメディアを活用できていなかったことに助けられたと語った。 【ギャラリー】2026年の新規則F1マシンが明らかに! 現行規則との相違点を様々なアングルからチェック! リバティの前にF1を支配していたバーニー・エクレストン時代は、意図的にソーシャルメディアが避けられていた。それはエクレストンが、テレビ中継の価値を下げることに繋がると考えていたからだとマフェイCEOは言う。 英Autosportのポッドキャスト『ジェームス・アレン・オンF1』の最新回でインタビューに応じたマフェイCEOは、次のように語った。 「率直に言って、我々が期待していた以上にF1は良くなっていると思う。我々はいくつか賢い手を打ったと思いたいが、非常にラッキーだったとも思う」 「素晴らしいレースがいくつもあったし、『Drive to Survive』(NetflixのF1ドキュメンタリー)だけでなく、ドライバーたちがソーシャルメディア上で行なっていることも、素晴らしい物語性がある。我々は、彼らが以前許されなかったソーシャルメディアでの機会を解放する手助けをしたんだ」 「ファンゾーンや我々が行なった展示会、ロンドンやワシントンで行なったショーケースなどでファンから寄せられた興奮などを見ると、結果としてファンたちは新しい現実に目を向けるようになったと思う。我々が期待していたよりもはるかに良い結果をもたらしたと思う」 エクレストンが採用していた姿勢について聞かれたマフェイCEOは、前体制はF1にとってとてつもなく良いことをしてきたが、時代の変化に適応できなかったのかもしれないと語った。 「バーニーがこのスポーツで築き上げたものに対して、彼は大きな称賛に値する」 「しかし状況は変化する。ソーシャルメディアをすべて無料で公開したら、放送パートナーはいくら払ってくれるのかと心配したりするような世界から、他のスポーツがすでにソーシャルメディアを取り入れていて、選手や参加者がソーシャルメディアの巨大なプレーヤーになっている世界に変わったのだと思う」 「そうした世界で新たなファン層を獲得し、ファンはより大きなつながりを得ることができた。今、すべての放送パートナーはそれを認識し、私は彼らに何を与えればいいのか、それとも彼らがどれだけ関与してくれるのかというトレードオフが、ソーシャルメディアの側に大きく傾いていることが証明された」 「だから、これは大きな勝利であり、ブランドを低下させる方法ではなく、高める方法なのだ」 しかしF1が大きな成功を収めている一方で、マフェイCEOはリバティ・メディアが物事に満足してはいけないと語り、レースが十分に競争的でなければファンは興味を失ってしまうだろうと考えている。 自己満足を含め、脅威を感じる部分について尋ねられたマフェイは、F1が注意しなければならないいくつかの問題を指摘した。 「もちろん、自己満足はご指摘のとおりで、注意すべきことのひとつだと思う」 「そして心配なのは、私が指摘したように我々は新しいファンたちを惹きつけてきたが、彼らの興味をどうやって保つかということだ」 「サステナビリティ(持続可能性)が懸念されるところもある。我々はサステナビリティに関する優れたストーリーを持っているが、それを周知させ、理解させ、実行していることを確認する必要がある。そして、人々がそれを信じられるようにしなければならない」 「レースにおける競争力を確保することが問題だと思う。そして現実としてハードルが上がり続ける中で、我々はソーシャルメディアで他の近代的なスポーツに追いつくために懸命に努力してきた」 「規制当局と良好な関係を築き、繁栄し続けることが我々の責務だ。様々な場面で意見の相違があったが、正しい方向に進んでいる。そういうことを夜な夜な考えているんだ」
Jonathan Noble