古典も現代作品も色とりどり。この夏、大人も子供も楽しめるダンス、バレエ公演をピックアップ!
言葉なしで感情や物語を伝えるダンスやバレエ。ハードルが高いと感じたり、理解できるかなと不安を感じたりする人でも、予備知識なしで楽しめる舞台はたくさんある。とくにこの時期から夏休み期間にかけては、子供から大人まで、気軽に楽しめる公演が次々と登場。注目の公演とその魅力を紹介しよう。 【全ての画像】大人も子供も楽しめる注目のダンス、バレエ公演
カラフルでキャッチーな忍者の世界へ 多彩なダンサーたちが森の動植物に!
まずは、新国立劇場による大人もこどもも楽しめるダンスとバレエの2作品。森山開次による『新版・NINJA』[6月28日(金)~30日(日)、新国立劇場 中劇場。ほか、兵庫県、新潟県での公演もあり]は、ポップで楽しい、忍者の世界を描き出して人気を得ているダンス作品だ。カラフルでキャッチーな衣裳や美術、目を見張るような動きで暗躍する忍者たちが、いろんな動植物の棲む森の奥へと皆をいざなう。森山のもとに集結したのは、元新体操選手のダンサーや俳優としてのキャリアを持つ人、さらにはバレエダンサーも。思わずニヤリとしてしまう「言葉遊び」の要素もたっぷりだ。ダンスって何となく難解でとっつきにくいという先入観は、舞台を観たら一気に消滅、あっというまにそのパワーに魅了されるはず。
『人魚姫』『シンデレラ』『ねむれる森の美女』。誰もが知る童話の世界をバレエで。
同劇場のもうひとつの公演は、こどものためのバレエ劇場 2024として上演される「『人魚姫』~ある少女の物語~」[7月27日(土)~30日(火)、新国立劇場 オペラパレス]。アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフに創作される全幕バレエの、これが世界初演だ。振付を手がけているのは、新国立劇場バレエ団で長くダンサーとして活躍した貝川鐵夫。人間の王子に恋をした人魚姫の切ない物語だけに、ヒロインの恋する喜びや苦しみが、バレエでどのように表現されるのか、どんな感動が生まれるのか、多くの人の期待を集めている。音楽はドビュッシーやマスネなどによるさまざまな楽曲を使用するというが、この作品のために新たに録音を行い、その際に貝川自身が細かなリクエストをしたそう。見せ場となる人魚姫と王子の踊りは、きっと情感たっぷりの美しい場面に。新国立劇場バレエ団の才能あふれるダンサーたちが紡ぎ出す、新しいバレエの誕生の場にぜひ立ち会って。 日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2024 バレエ『シンデレラ』全2幕[8月16日(金)~18日(日)、日生劇場]も、お馴染みの童話が題材のバレエ。スターダンサーズ・バレエ団の人気作品、鈴木稔演出・振付による『シンデレラ』を、オーケストラの生演奏(田中良和指揮、演奏はテアトロ・ジーリオ・ショウワ)とともに上演。バレエ鑑賞が初めてという人にもわかりやすい解説付きというのも嬉しい。厚みのある響きとドキドキするような躍動感が魅力のプロコフィエフの音楽は、生演奏でこそ味わえる感動が。お城の舞踏会を夢見るシンデレラにダンスを教えるかわいいネズミたちの登場や、一般的に描かれることの少ない父親の存在が、より心温まる舞台を実現。親子で感動を共有するのにぴったりの作品だ。 解説付きのバレエのおすすめをもうひとつ。夏の恒例イベントとして親しまれている〈めぐろバレエ祭り〉で上演される、東京バレエ団創立60周年記念シリーズ8「子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』」[8月24日(土)~25日(日)、めぐろパーシモンホール 大ホール]は、チャイコフスキー三大バレエのひとつである『眠れる森の美女』をコンパクトに凝縮して上演し、人気を得ているプロダクション。登場人物のひとりがセリフを喋って、観る者をぐいぐいと物語の世界へといざなう。子供のみならず大人の心をもくすぐるのは、絵本の世界が中から飛び出したような可愛らしい衣裳に舞台美術(舞台美術・衣裳デザイン:永井郁子)。オーロラ姫と王子の踊りをはじめ、妖精たちや童話のキャラクターたちの踊りも、もともとの全幕の踊りの魅力をしっかり伝えてくれるから、大人の古典バレエ入門としても最適だ。