<テスラVS.エジソン「電流の戦い」とは?>知っておきたい電気にまつわる基礎知識
2024年の夏は10年に1度の酷暑と言われており、エアコンの使用などによる電気代の上昇が懸念されていたため、政府は8月から電気代・ガス代の補助金を一時的に再開する予定だが、場当たり的な政策に国民からの批判の声も聞かれる。日本が本当に国際的な競争力をもった電気料金を実現するためには、電力政策の早急な見直しが必要となる。本記事では、知っておくべき電気にまつわる知識を、さまざまな角度から解説する。 *本記事は『間違いだらけの電力問題』(山本隆三、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。 【写真】ニューヨーク、マンハッタン・パール街に建設された世界初の商業発電所
シーメンス、テスラ、ウエスティングハウス……電気に関わる企業に名を残す
人類は、電気の存在については静電気、稲妻により古くから知っていたと思われる。米国の独立宣言の起草委員の一人として知られるベンジャミン・フランクリンが、1752年に雷が鳴る中凧を上げ雷雲の帯電を証明したが、電気の利用までは至らなかった。その後、現在の電気に関係する企業に名を残す多くの人たちが電気に係ることになる。 ヴェルナー・フォン・ジーメンス(英語ではシーメンスと呼ばれる)はドイツの電機メーカを創業した。米国の発電事業を発展させたニコラ・テスラは、電気自動車(EV)を製造するテスラとニコラの社名になっているが、両社ともテスラ個人との関係はない。ジョージ・ウエスティングハウスは、かつて東芝の子会社だったこともある原子力発電設備などの企業の創業者だ。トーマス・エジソンが作ったエジソン・エレクトリック・ライトから発展したのは総合電機メーカGEだ。電力会社コン・エジソンもエジソンが作った企業だ。 1832年にフランス人のヒポライト・ピクシーが、初歩的な手回し発電機を世界で初めて作った。1867年頃には、ほぼ同時にドイツ人のジーメンスと英国のチャールズ・ホイートストンが、自励式発電機を製造している。1870年にベルギー人ゼノブ・グラムが安定的に直流を発電する発電機を製造し、電気を実用的に利用することが可能になった。街中ではガス灯に代わりアーク灯が利用されるようになるが、まぶしいため屋内での使用に適さなかった。