50歳の専業主婦です。夫が「子どもが独立したし、遺族年金もあるから」と、生命保険を解約しようとしています。年収500万円で貯金も「500万円」ですが、本当に大丈夫なのでしょうか…?
子どもが独立すると教育費の心配がなくなり、生命保険の保障額を見直す人もいるでしょう。しかし、専業主婦の人は、会社員の夫にもしものことがあった際は、給与収入もなくなるため、今後生活できるのか不安に思うこともあるかもしれません。 そこで本記事では、50歳の専業主婦が、年収500万円で5歳年上の夫を亡くした場合、遺族年金で生活が可能なのかシミュレーションします。また、試算結果からどう対応すべきかも考察します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
遺族年金とは
遺族年金は、年金の被保険者や受給権者である人が亡くなった際、その人から生計を維持されていた遺族に対して支給される年金です。遺族年金には、図表1のとおり「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、要件に合致すれば重複して受給できます。 遺族基礎年金は「子のある配偶者」もしくは「子」を対象として支給され、「子」の定義は18歳到達年度の3月31日までであり、その期日を超えると受給できません。一方、遺族厚生年金は「子のない配偶者」なども支給対象となるため、配偶者が30歳未満の場合を除き、条件を満たせば一生涯受給できます。 支給額は遺族基礎年金が老齢基礎年金満額の金額に子の加算額があるのに対し、遺族厚生年金は亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。さらには一定の年齢の妻を対象にした「中高齢寡婦加算」があります。 図表1
※子、孫は18歳到達年度の3月31日までにある人 日本年金機構 遺族基礎年金、遺族厚生年金 から筆者作成
55歳の夫が亡くなったとき、5歳年下の妻に支給される遺族年金は
年収500万円、55歳の夫を亡くした5歳年下の専業主婦を例に、遺族年金の受給額をシミュレーションしてみましょう。子どもは独立しているため、遺族厚生年金に絞って計算します。 まず、夫の厚生年金報酬比例部分の金額を算出してみましょう。正確には2003年3月までと4月以降で計算方法が異なりますが、計算をわかりやすくするため、2003年4月以降の計算方法を利用します。 夫が働いていた期間の年収が500万円であれば、標準報酬月額は500万円÷12ヶ月=約41万6000円です。 20歳から55歳まで35年間(420ヶ月)働いたと想定すれば、簡略化した計算のため概算ですが、厚生年金報酬比例部分は「41万6000円×5.481/1000×420ヶ月=約95万7000円」となります。結果として遺族厚生年金は「95万7000円×3/4=約71万7000円」と計算されます。 さらに40歳以上65歳未満で子どもがいない妻には「中高齢寡婦加算」として、65歳になるまで年間61万2000円が加算されます。そのため65歳になるまでは遺族厚生年金71万7000円と中高齢寡婦加算61万2000円の合計132万9000円を遺族年金として受給可能です。 65歳以降は妻自身の老齢基礎年金が受給できます。そのため、年金保険料を60歳まで支払ったと仮定すれば、老齢基礎年金満額の81万6000円と遺族厚生年金71万7000円の合計153万3000円を生涯にわたって受給可能です。