相続登記の重要性学ぶ 奄美市で空き家対策セミナー 有効活用法も紹介
鹿児島県大島支庁と奄美群島の自治体が空き家問題などに取り組む「家守り(やもり)プロジェクト」のセミナー、個別相談会、ワークショップが12日、奄美市名瀬の同市役所であった。セミナーには同市と龍郷町に在住する空き家の所有者や相続人ら45人が参加。相続登記に関する理解を深め、空き家の有効活用を学んだ。 セミナー、相談会は県大島支庁が2022年から空き家の有効活用などを目的に取り組んでいるプロジェクトの一環。昨年11月の徳之島を皮切りに、群島各地で開催している。 奄美市でのセミナーでは、法改正に伴い24年4月から義務化された「相続登記の重要性」について、里村法務事務所の司法書士、里村紀幸さんが講演。相続登記しない損失として▽相続人の関係者増加による権利関係の複雑化▽財産処分の困難▽第三者の権利主張―などを挙げ、「目に見えない所有権を見えるようにする登記は大事なこと」と訴えた。 奄美大島、徳之島、沖永良部島を中心に、大家から空き家を借りて転貸する「サブリース」などに取り組むNPO法人「あまみ空き家ラボ」の佐藤理江理事長は、改修が必要だったり、残置物が多い家でも入居者が補修や片付けをしながら居住しているサブリースの事例を紹介。大家の負担が少ない空き家のサブリースを推奨した。 奄美市と龍郷町の空き家対策や各種助成制度、不動産の売買や相続で発生する各種税金などに関する説明もあった。無料の個別相談会では12人が土地や建物の相続、不動産の活用について相談した。 ワークショップは住民や行政担当者ら約20人が参加し、空き家活用による持続可能な奄美の未来について検討。奄美の住環境の利点と課題を整理し、入居希望者を受け入れる環境整備などを提案した。 セミナーを受講し、先祖の残した土地相続に関する相談をしたという70代男性(奄美市住用町)は「昔は奄美でも家督相続が主流だったが時代が変わり、所有権を争うケースもある。早期に必要な手続きを済ませたい」と話した。
奄美の南海日日新聞