【独自解説】「朝露関係は最高潮」金正恩総書記がロシアとの“蜜月アピール”に込めたメッセージとは?新たに結んだ『包括的戦略パートナーシップ条約』は「東アジアにとっては脅威」専門家がロシアと北朝鮮の思惑を解説
「金正恩は物凄く興奮状態だが、プーチンは一歩下がっている」両首脳の思惑は?新たに署名した“条約”の内容は?中国はどう見ている?専門家が独自解説
Q.物凄い人数の出迎えがありましたが、あれは動員されていたのでしょうか? (龍谷大学・李相哲教授) 「人の列は20キロも続いている、といわれています。もちろん動員したものです」 Q.動員された人たちは、仕事を休んでいるのですか? (李教授) 「平壌では年中、そのような行事に動員されるのが仕事です」 Q.李教授は、「日付をまたいで首脳同士が会うのはあり得ない。ロシアが上からかましてきている」という見解を示されていますよね? (李教授) 「金正恩は物凄く興奮状態ですが、プーチンは一歩下がっているという感じが、いろんな場面からわかります」 Q.なぜ北朝鮮はそんなに喜んでいるんですか? (李教授) 「後ろ盾ができた、ということです。プーチンからすると、“東アジアで北朝鮮が暴れてくれたら、アメリカをけん制できる”という思惑もあると思います」 Q.広場にはプーチン大統領の肖像画も飾られていましたが、外国の首脳の肖像画が飾られるというのは、あまり見たことがないですよね? (李教授) 「金日成広場に飾られたことは、今までなかったです」
北朝鮮メディアによると、今回プーチン大統領と金総書記が署名した『包括的戦略パートナーシップ条約』とは、「一方の国が武力侵攻を受けて戦争状態となった場合、他方の国はあらゆる手段で遅滞なく軍事支援を行うものだ」ということです。プーチン大統領は「どちらかの国が攻撃された場合、お互いを支援すると規定している」、金総書記は「両国の関係は同盟関係という新たな高い水準に上がる」と述べています。
ロシア(当時ソ連)と北朝鮮は1961~1996年にも『友好協力相互支援条約』を結んでいて、“どちらかが攻撃を受けた場合は、軍事的に自動介入すること”が明記されていました。李教授は、「1961年の条約と比べて曖昧な内容となっている今回の条約の内容は、自動介入ではなく“どうにでも解釈できること”に注目だ」と指摘しています。 Q.プーチン大統領は「お互いを“支援”」、金総書記は「同盟関係」と言っていますが、この言葉の違いをどう考えますか? (李教授) 「全文が公開され、22項目ある条約の中の第4条で『介入する』ということになっています。ただ条件がついていて、『一方が攻撃された場合に、国連憲章第51条、そして両国の法律に準じて介入する』ということです。国連憲章第51条とは『誰かが誰かを攻撃した場合』で、また“両国の法律に準じて”ということは『すぐに介入する』という意味ではなく、解釈の余地をたくさん残しています。“本当にあなたたちが攻撃せずに攻撃されたのかどうか”など、そういう解釈がこれからつくので、1961年の条約とは全然違うと思います」 Q.プーチン大統領としては余白の部分は残していて、仮に“北朝鮮に有事があった場合でも、すぐにロシアが兵力を送ったりはしない”ということですか? (李教授) 「そういうことは難しいと思いますが、ロシアには一応“機会”があります。また、今回両者が近付いたというのは、両者ともアメリカに制裁を受けていますので、日米韓が結束している中で、北朝鮮とロシアが、できれば中国もですが、結束して対峙していくという、『共同でアメリカに対抗しよう』という対外的なメッセージが一番強いと思います」 Q.ただ、東アジアの緊張感は相当高まりますよね? (李教授) 「“軍事的な技術交流を排除しない”ということですから、少しでも技術を提供すれば北朝鮮が少し強くなるので、東アジアの安保にとっては脅威です」
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