インテリアを劇的にアップグレード! 【ヴェルナー・パントン】のペンダントライト
たかがライト、されどライト。普段は目立たないけれど光によって空間を支配するから、インテリアの雰囲気を決めるのにいちばん重要なのでは、と思うのが照明です。妥協しようかなーどうしようかなー……と1年ほど思い悩みながら結局手に入れたのが、言わずと知れた名品「フラワーポット・ランプ」。二つの半円から成るシンプルな、ゆえにエターナルな魅力を放つこのランプ。1968年にデザインされて以来、モダニズム・デザインの代表格として愛され続けてきました。名前の由来は1960年代後半に活発だった反戦学生運動「フラワーパワー運動」より。まるで植木鉢から花が咲いた様子を極限まで抽象化したようにも見えます。当時ファッションでも未来的なスタイルやオプアートのトレンドが盛り上がっていましたが、それは家具やインテリアの世界でも然り。技術の進歩と社会運動の高まりにより変革のムードを肌で感じ取っていたパントンは、「知的なデザインは富裕層にのみ占有されるべからず」というモットーのもと、大衆にも親しみやすいユニバーサルな、それでいて当時としては個性のあるデザインにいそしみました。 【写真】ライトを消してもサマになるおしゃれなルックス 日本では&トラディションというサイトで色彩豊かに展開しています。私は元々飾っていた絵と友人のフォトグラファーから贈られた写真のカラーにマッチする「ダークプラム」を選びました。シックなぬくもりを部屋に与えてくれて、かといって主張しすぎない。大成功なチョイスでした。コードが長いのでゆるく垂らして天井の任意の点で一度留めてから、低い位置で吊るしています。 このランプのいちばんの魅力は、光を灯したときのこの透け感。エナメル塗装されたスチールの半円がバルブを覆い隠しており、スイッチをオンするとこの半球からぼうっと光が漏れ出し、ダークプラム色がグラデーションを描きながら透き通るのです。昼間は硬質な印象なのに、夜になって光を宿すとこんなふうにやわらかい空気をはらんだムードへさま変わりする。家で仕事をする日の薄暗くなった夕暮れ時、ライトをオンするのが楽しみのひとつになりました。まるで心にもやさしい光が灯されたような気持ちになります。 ◇エディターITAGAKI