木谷高明オーナーに直撃!“AEW”オカダ・カズチカへのエール「日本の凄さを世界に広めてくださいっていう言い方しかない」
新日本プロレスの看板選手であったオカダ・カズチカの退団
業界の盟主として不動の地位を築いている「新日本プロレス」、そして女子プロレスの最前線を走る「スターダム」を傘下に持つ、株式会社ブシロードの木谷高明社長に独占インタビューを実施。 【動画】オカダ・カズチカがラストマッチでメッセージ オーナーとして見た棚橋弘至社長の現状、そして看板選手の退団や若手選手の台頭、今後の新日本プロレスや日本プロレスリング連盟 (UJPW)に期待する事など、様々な角度から話を伺った。 <第2回> ――オカダ・カズチカ選手の退団についてどのように受け止めましたでしょうか? いやこれはですね僕、仕方ないとしか言いようがない。やっぱり何度も言ってるけど、僕が同じ立場だったら自分でも同じことをしたと思うんです。だから仕方ないし頑張ってくださいとしか言いようがないし、お客さん的な言い方になるかもしれないけど「日本の凄さを世界に広めてください」っていう言い方しかない。 ――確かにファンの皆さんも野球やサッカーと同じように世界でチャレンジする選手のその気持ちに同調してるような部分が多いのかなと思いました。木谷オーナーとしては10年支えてくれていた功労者でもあり、CMや広告露出などある意味ブシロードが育てたエースとしてのオカダ・カズチカっていうようなブランドもあったと思いますが、いかがですか。 そうですけど、僕は思ってないですよね。育てたってのはちょっとおこがましいんです。それは少し初期の頃に知名度を上げるためにサポートしてTVCMを出したりとか、そういうことはあると思いますけど、実際はオカダ選手の実力で自分で育ったんだと思うんです。だから、初期の頃に側面支援を少ししたっていうだけの話だと思いますよ。やっぱり本人が頑張ったからこうなったんであって、もちろん周りも協力だとか、いいライバル関係もあったりしたからっていうのも全然あると思います。一つ付け加えるんだったら奥さん(三森すずこ)も。でも一緒について行っちゃうんで本当に…。 ――最初は奥さんから聞かれたそうですね。 まあでも、言ってくるのは奥さんからだと思ってましたね。 ――そうなんですね。 「実は…」みたいな感じで来た来たーってすぐ連想しちゃいますよね。そうするとやっぱりそうしますか、聞かなくてもわかるみたいな。 ――なるほど。 でもその時はもう、「うちの主人もいろいろ悩んでるみたいで。」って言われて。いや、もうその悩んでるのって、行く行かないで悩んでるんじゃないでしょうみたいな(笑) ――今回の件は、日本のプロレス界やプロレスラーに対して夢が広がるような話だったのではないかなと思いました。 これに関係するんですけど、僕は日本のプロレスマスコミに対して、この部分はすごく不満なとこなんです。プロレスマスコミだけじゃなくてスポーツマスコミ全体に。 ――聞かせてください。 アメリカのプロスポーツ、プロレスも含めて興行とかビジネスモデルと、日本のプロスポーツ、野球とかサッカーと何がどう違うのかっていうことをもっとちゃんと解説してお客さんに分からせてくれよって思うんですよね。 ――なるほど。 もう自分達で言ってもいいんですけども、自分達で言うのはやっぱりおかしいと思うから…。ちょっと話はずれますけど、1993年にJリーグが開幕したころって、Jリーグの売上とイギリスのプレミアリーグの売上ってほぼ同じくらいだったんですよね。でも今は、マンチェスターユナイテッド1チームの売上とJリーズ全体の売上が同じなんですよね。 ――かなり差がつきましたね。 そう、これどこでそんな差がついたのかっていったら、動員数とかももちろんありますけど、大きいのはその試合映像のコンテンツにいい値段がついたかどうかなんですよ。WWEは発表されているから分かりやすいですけど、RAWだけでも1年間740億円でNETFLIXに売るわけじゃないですか。SmackDownの方はたぶん300億くらいなんですよ。プラス海外番販でおそらく150億から200億があると思うし、それ以外にも配信が百何十億あるわけで。 ――規模が違いますね…。 だから興行売上だけで比べたら、何倍でしかないんですよね。でも映像売上を比べたら何百倍なんですよ。この部分の差でギャラを払えるかどうかってことなんですよね。ファンの人は団体に対して「もっと気張らんかい!」って思ってるかもしれないけど、もう難しいんですよね。でもその難しいっていうのはお客さんは知らないですよね。アメリカのスポーツ映像ビジネスがそんなに巨大だっていうのは、日本のお客さんは知らないですよ。だからなんでこんなにボコボコ引き抜かれるんだって言われても、仕方がないというふうに言うしかない。 ――以前、ビジネスイベントでアメリカと日本のプロレスマーケットの違いをセッションさせていただきましたが、やはりみなさん初耳だったようで、かなりびっくりされてました。やはり金額の違いだけがクローズアップされがちですが、その背景、その内容などを無視して発信している部分はあるかと思います。 そうなんです。プロレスはよくやってる方だと思うんですよね、この前のシカゴ大会だって6,000人以上集めたし。かなり立派なものだと思いますよ。逆になんでそんなに集まったのかなって思いましたけど。久々なんですよね、6,000人規模って。 ――これはそれまでにAEWに選手を送り出したりなどで知名度が上がってきていたからですかね? シカゴだったからよかったんじゃないかなって思いますね。 ――開催地によってもだいぶ違いますか? 違いますね。 ――Madison Square Gardenでの開催(2019年)はびっくりしましたね。 あれは16,000人とか入ってたと思うんですけど…、もうあれもなかなか難しいですよね。※公式発表16,534人(札止め) ――そこは、棚橋社長に頑張ってもらって。オカダ選手も移籍されたので、AEWとの合同開催ということも? それは可能性としてありですよね。まあAEWとは今後もいい関係であり続けたいと思いますね。 ※次回に続く インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)
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