登録者数180万人超えのYouTuber→24歳で俳優転身は“遠回り”。連ドラでの演技が物語るのは
チャンネル登録者数100万人をわずか1年で達成してしまったYouTuberが、YouTuber事務所ではなく、あえて大手に所属する。YouTube界の異端児と呼ばれるカルマの戦略は計り知れない。
同名漫画の実写化ドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日、2023年)ゲスト出演をきっかけに俳優活動にも力を入れている。現在では“元YouTuber俳優”という認識さえあるほど、演技には定評がある。 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、「遠回り」を肥やしに独学で演技を磨いてきたYouTuber俳優カルマについて解説する。
生身の俳優による翻訳
漫画作品を原作とする実写化映画で演技する俳優というのは、ものすごい違和感とのせめぎあいを演じているように思う。その違和感とは、2次元の漫画世界を3次元の生身の俳優が映画として翻訳する労力だと言い換えてもいい。 2002年に公開された曽利文彦監督の『ピンポン』をエポックメイキングとして、今では当たり前のように実写化作品を享受している。原作漫画が映像に置き換わるとき、俳優はキャラクターのビジュアルの再現度など、原作ファンの厳しいチェックを受けなければならない。 生身の俳優による翻訳作業としての演技はこうして困難を極めるのだが、2010年代に数々の少女漫画原作の“きらきら映画”に主演して実写化王子の異名を取った山﨑賢人は、むしろ涼しい顔して百人力の置き換え術を心得た強者だった。
俳優活動にも挑戦する人気YouTuber
それからもうひとり、同じ曽利監督作『あしたのジョー』(2011年)で日本漫画の伝説的キャラクターをスクリーン上に立ち上がらせた山下智久も特筆すべき存在。山﨑と山下の実写化の才人ぶりは桁外れであり、彼らと同様に他の俳優たちが演じられるわけではない。事実、多くは実写化で苦戦を強いられている。 原作ファンが抱く不安要素を少しでも軽減するため、キャラのビジュアルが微細に重視され、原作の世界観を尊重する。それによって俳優たちが漫画キャラの衣装を着せられたコスプレ的作品にしか見えないものは多い。 2次元から3次元へ置き換える過程では、白々しく力んで決め台詞を吐くアグレッシブな演技も見てられない。なんてことが結構な頻度で起こるのが実写化作品の不都合なのだが、最近筆者はちょっと異質な存在を見つけた。近年、俳優活動にも挑戦している人気YouTuber・カルマである。