わらぞうり作りや自宅で保健室……シニアの「人生二毛作」実践事例集
長寿社会に自分らしく参加する「人生二毛作」運動に取り組む長野県で、実際の活動を紹介した実践事例集が評判を呼び、県内外から問い合わせが相次いでいます。趣味や特技、学んだこと、人のつながりなどを生かして地域で生き生き活動するシニアの60例を紹介。「寝たきりでもハンディがあっても出番があるよ」との呼びかけが共感を呼んでいるようです。
事例集は長野県長寿社会開発センター(公益財団法人・内山二郎理事長)がこのほど1万5000部発行した「信州版・人生ニモウサク劇場」。A5判56ページの手に取りやすい大きさの冊子にカラー写真を多用して地域のグループや個人の活動を分かりやすく紹介。活動の内容別に「趣味・特技を活(い)かす」、「キャリアを活かす」、「学びを活かす」、「つながりをつくる」、「場所を活かす」の5つの分野にまとめています。 「趣味・特技を活かす」では、同県木祖村で8年前からシニアの生きがいづくりのため始めた作業所「すずめ塾」など13例。すずめ塾は、60代から90代までの13人が昔取ったきねづかで編んだ、わらぞうりやしめ飾りを趣味にとどめず販売も。「近隣の町村から祭りに欠かせないわらじの注文も来る」、「90代の4人の達人の技を60~70代の新人が懸命に教わっています」と紹介。スズメのようにおしゃべりしながら過ごし、持参の弁当を開くランチタイムが楽しみ。 活動支援のためセンターが長野県内に6人配置しているコーディネーターが、事例集の所々で活動のポイントを紹介し、すずめ塾については「当たり前だったわら細工の作業が生涯現役の生きがいにつながり、なおかつ収入に結び付いている」と説明しています。 趣味の木工で椅子作りをしながら養護学校の木工授業の補助者として指導に当たる77歳の男性(小諸市)や、自宅の土蔵を「まちの縁側」にしてフォークソングを歌っている69歳の男性(長野市)などもいます。