第91回センバツを前に/2 少人数チーム、試行錯誤
<第91回選抜高校野球> 「うちのようなチームには『勝つな』ということなのか」。昨夏の地方大会に連合チームで参加した西日本の監督は、新潟県高校野球連盟の球数制限導入に困惑した。チームで投手をできるのは1人か2人で、それでもストライクを思うように取れず、球数は多くなりがちという。「100球到達で次の回から交代なら3投手が必要。ただし、2人目以降は抑えられるレベルではない」と懸念する。 日本高野連が新潟県高野連に球数制限実施の再考を申し入れた理由の一つが、連合チームなど少人数チームへの影響が大きいことだ。昨夏の地方大会に参加した3781校のうち、部員不足による連合チームは過去最多の81チーム。日本高野連の昨年度の調査では、加盟校の25・1%が部員20人未満であり、複数の投手を用意するのは厳しいのが現実だ。 選手10人で前々回大会の21世紀枠候補校に選ばれた洛星(京都)では、投手を含む「全員全ポジション」を目指し、中村好邦監督(41)が新入生全員をブルペンで投げさせて適性を見る。「投球時に骨盤に体重をうまく乗せて体を回転できるかが大切。柔軟性や筋力も必要だが、フォームは感覚的な部分が大きい。強豪校を抑えられる投手を複数育てるのは難しい」と明かす。 一方、新潟県高野連は球数制限導入発表に先立ち、県内高校指導者に導入の賛否をアンケートで問うたところ、6割超が肯定的だった。選手7人で、昨秋は部外の「助っ人」を加えて公式戦に出場した新津南の中野修監督(44)は「球数制限は選手を守るために必要な試み。部員数が少ない中で、チームの可能性を見いだそうと複数投手制を既にしている」と説明する。少人数の中学野球部出身者が多く、ほとんどの選手に打撃投手や練習試合での登板経験があるといい、「いろいろなタイプの投手を作ることで勝ちにつながり、選手にもプラスの経験になる」と訴える。独自の取り組みで勝利を目指す少人数チーム。現場の意見も多様だ。【石川裕士、写真も】=つづく