日産、取引先の誤解を招く表記は運用を廃止-不当な減額継続報道受け
(ブルームバーグ): 日産自動車は31日、公正取引委員会から勧告を受けた後も下請け企業への代金の不当な減額を続けていたとの報道に関連して記者会見を開き、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は誤解を招く表記については運用をやめたと明らかにした。
内田社長は横浜市の本社で開いた会見で、一部報道を受けて範囲を広げた追加点検を実施していると述べた。報道であったような一方的な値下げ行為は調査では確認されなかったとされたが、内田社長は取引先から不満の声が上がっているのは事実で、改善に向け取り組みを強化していくと述べた。法令違反の疑いがある際の通報ホットラインを外部に設置することも明らかにした。
賃金と物価の好循環を目指す政府は、中小企業が賃上げ原資を確保するには原材料費や労務費、エネルギーコストなどの上昇分を適切に価格転嫁できるようにする必要があるとして監視を強化している。日産は3月に取引先への代金の不当な減額など下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反する行為が認められたとして公取委から勧告を受けた。
それ以降も不当な減額を続けていたとする報道の内容について、日産は威圧的なコミュニケーションがあるとされたことなどについて、調査の結果確認されていないとするなど一部否定した。
同報道を巡っては政府や経済界から公の場で懸念や反発の声が上がり、日産は調査チームを立ち上げて関係者へのヒアリングなどを進めていた。
内田社長は公取委の勧告を受けた責任を取って月次報酬の30%を4月から3カ月間にわたって自主返納すると述べた。有価証券報告書によると、内田社長の22年度の報酬額は計6億7300万円だった。
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Tsuyoshi Inajima