日本の業績予想は例年以上に悲観的、上方修正サプライズで株高誘発も
ホンダ (7267):連 通期 税前 +86.7% 1.64兆円(IFRS)
ソニーG (6758):連 通期 税前 -0.5% 1.27兆円(IFRS)
円安は輸出企業の業績を押し上げ、株式相場の下支え要因となっているが、昨年以降の円の下落幅が大きく、それに伴い日本の通貨当局が為替介入を行い、円高に反転する可能性は今後のリスク要因だ。岡三証券が5月時点のデータを過去にさかのぼり分析したところ、企業の今年度の想定為替レートである1ドル=約145円と実際のレートの差は10年以降で最も大きい。
アセットマネジメントOneの荻原健チーフストラテジストは、現時点の企業の為替前提はやや保守的で、業績の「上方修正余地は残っている」と話す。トヨタ自動車の今期のドル・円想定レートは145円。ブルームバーグの試算では現在の157円前後で推移した場合、同社の利益は5125億円増加することになる。
トヨタ、「足場固め」で今期営業益2割減予想-市場予想下回る
円安は全てのセクターにとってプラス材料ではなく、燃料や原材料、食料品などの輸入コストを押し上げるため、利益が圧迫される業種、企業も少なくない。シティグループ証券によると、内需に依存している企業の今年度の業績見通しは「全般的に控えめ」だという。
とはいえ、業績計画があくまで保守的な内容で、実際の収益が悪化していなければ、今後株価は年末に向け上昇するとBofA証の圷氏はみている。同氏によると、日本企業は数十年にわたるデフレの影響で、経営者が良好な事業環境が続くかどうか懐疑的になっており、保守的なガイダンスを出す傾向があるという。
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーも、思ったより世界景気が落ち込まなければ、賃上げを巡る春闘の結果も良く、消費が戻るなど「日本企業に若干追い風」になるとの見方を示している。
大手企業の春闘賃上げ率は5.58%、33年ぶり高水準-経団連