日本の業績予想は例年以上に悲観的、上方修正サプライズで株高誘発も
(ブルームバーグ): 日本企業の今年度業績予想は、世界が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に見舞われて以来の悲観的な内容だ。個人消費の回復などで今後上方修正の動きが広がれば、最高値更新後は足踏みする日本株相場を押し上げる可能性がある。
BofA証券によると、東証株価指数(TOPIX)採用の2・3月期決算企業の2024年度経常損益は4.2%の減益に陥る見通し。新型コロナの流行が世界経済の成長にブレーキをかけた20年度以来の悪さとなっている。
圷正嗣ストラテジストは「例年にも増して保守的」だと指摘。投資家にとっても想定以上だった公算が大きく、株価の上値追いを抑制させるインプリケーションがある一方、会社計画が保守的な年は「年末高パターンになりやすい」との見方を示す。
日本株は「年末高」パターンか、企業の業績計画は保守的-BofA証
JPモルガン証券やゴールドマン・サックス証券でも、日本企業は今後悲観的な見方を改め、業績見通しを引き上げるだろうと予想する。
JPモルガン証の西原里江チーフ日本株ストラテジストは、昨年度の業績や株価を押し上げた米国景気の堅調や訪日外国人客の急増、為替の円安進行、製品・サービス価格の値上げは今年度もある程度見込まれるとし、「弱い期初のガイダンスは期中に増益に上方修正されていく」とみる。同証によると、今年度のTOPIXの1株当たり利益(EPS)成長率は10%となる見通しだ。
円安の功罪
ブルームバーグ・インテリジェンスの株式ストラテジストであるローラン・ドゥイエ氏よると、23年度は日本企業のおよそ59%がアナリスト予想を上回る好決算となった。
自動車メーカーのホンダは事前の業績見通しを上回る利益を上げた1社で、前期営業利益が1兆3820億円と期初計画から38%上振れ、翌日の株価は1.1%上昇した。電機メーカーのソニーグループも、前期営業利益の上振れを発表した翌日に株価が8.2%上昇。両社は自社株買いを発表したこともプラス材料となった。