ロードスターがアルファと兄弟車になる理由 「新型」のライバルとなるクルマは?
次期ロードスターの強力なライバルとは?
マツダにとってもこの意味はとてつもなく大きい。次期ロードスターが歴代で最もコンパクトで、初代に近い軽量であることはマツダから発表されている。そこから考えるとロードスターとして歴代ベストモデルになる可能性すらあるのだが、販売面を考えると、次期ロードスターにはとてつもなく強力なライバルがいるのだ。それは歴代ロードスターの中古車である。 中古車市場を眺めると、いまだに初期型ロードスターが流通している。デビューから25年経過したクルマが、マニアックな旧車としてではなく、ごく普通の選択肢として流通していることはある意味、異常事態だ。しかもロードスターは間もなく累計100万台に達する。2座オープンの生産台数でギネスに登録されている最量販車だ。中古市場でのタマ数も飛びぬけて多い。 代を重ねるごとに新たな安全基準への適合を余儀なくされてきたこともあり、3代目の現行モデルまで、モデルチェンジごとにクルマが重くなってきた。軽さこそが価値と考える原理主義的ユーザーにとっては、むしろ旧型の中古車の方が価値を持つことすらあったのである。もちろんマツダはそれをよく理解している。だからこそ今回初代を的に掛けての軽量化を断行しているわけだ。
そこまでマニアックな話でなくとも、そもそもロードスターの根源的な魅力はどの型のモデルでも十分に備わっているから、新型になって性能が多少向上しようとも「やっぱり新型じゃなくちゃ」というモチベーションが希薄なのだ。 さらに言えば、セカンドカー需要もあるので、中古車でもさほど距離を走っていないクルマがいくらでもでてくる。価格的に見てもガンガンに走り込んだボロボロの10万円クラスから、ほぼ新車に近い値段とコンディションのクルマまで選び放題という現実もある。ロードスターが長く愛されることは嬉しくもあるマツダだが、中古車は新型が出る度に強力なライバルとして立ちふさがってきた宿敵でもある。 しかもロードスターの場合、そのコンセプトから言って、シャシーの流用が効かない。専用開発シャシーが求められる。一方で販売台数の方は、2座オープンカーとしてはギネス級と言っても数は限られている。ライバルである中古車マーケットが充実すればするほど、販売台数が下落してシャシー開発コストのアタマ割り回収が苦しくなる。この状態が続けば、どこかで限界を迎える可能性があるのだ。