【デーブ大久保コラム】ネクストプレーを考えられていた阪神。その欠如が隙を生み開幕連敗となりました
何事であっても、野球であっても、相手になめられたら自分が負けてしまいます。野球なら簡単に敗戦となってしまいます。そういう状況にならないように毎日、真剣に戦わないといけないのですが、昨年の巨人は阪神に6勝18敗1分。最後のほうは阪神に完全になめられていたのかもしれません。 【選手データ】岡本和真 プロフィール・通算成績・試合速報 今年はその雰囲気が逆になっていく可能性が出てきました。開幕の2試合で巨人が2連勝。当然対戦相手の阪神が2連敗。下馬評では阪神の連覇の可能性が高い、と言われています。その理由として、強力な投手陣とともに、隙のない野球をやるチームだからです。 しかし、開幕2試合、隙が出てしまいました。それもレギュラーと呼ばれる選手たちがミスを犯しています。これは相手から見ても、「隙」があると思われても仕方ないです。それと同時にこういう戦い方をしていると「優勝で、気持ちが緩んでいる」と言われてもしょうがないですよね。実際に選手たちには、そういう気持ちは微塵もないです。私も元プロ野球選手ですから、その気持ちがよく分かります。でも、優勝の翌年、ミスで負けるとそういう目で見られてしまうんです。 今回のように、レギュラー陣がミスをして、試合の流れを変えてしまうと「今年の阪神はつけ入る隙がある」と判断されてしまいます。そうなると、相手チームに「今年の阪神は大丈夫、戦いやすい」となめられてしまいます。これが阪神にとっては一番怖いことなんです。 「ネクストプレー」が野球では一番大事でもあるんです。塁に出たら、次の打者でどういう走塁をするのか、さまざまなことを想定し、いかに進塁してホームを踏むのかを考えていく。走塁だけじゃなく、すべてで“ネクスト”を考えることが大事なんです。 それが岡田彰布監督が言う「普通にやればいいねん」なんです。これを完璧な形でできていたのが、昨年の阪神の選手たちだったからこそ、相手チームは「嫌なチームだな」と思って戦っていたのです。 開幕戦の3回一死一、二塁から森下(森下翔太)の右飛で、一塁走者の中野(中野拓夢)が帰塁できずダブルプレー。一気に流れが変わりました。中野の足なら、抜けてからでも十分にホームにかえれます。まさに“ネクスト”の欠如でした。開幕戦で勝ちたいという焦りがあったのかもしれません。それでもあの中野がやってはいけないプレーでした。 第2戦は、4回一死一、三塁から、三塁走者の大山悠輔が、スクイズの小フライを捕球され、帰塁できずアウト。大山は、打者・坂本誠志郎がバットにボールを当てたのを見てから走っています。体の状態もあるかもしれませんが、らしくないプレーでした。こういう隙により、「緩んでいる」と思われても仕方ないです。 打てなくてもネクストプレーで相手にプレッシャーを与えてきたチームです。実力はあるチームですから、もう一度、そこに立ち返ってほしいです。
週刊ベースボール