名古屋駅浸水、リニア建設ラッシュで大丈夫か
25日未明に発生した浸水で、名古屋駅発の運転を始発から見合わせていた市営地下鉄東山線は同日午後3時前になって運転を再開しました。大雨はもちろん、駅周辺の再開発ビルの工事が影響したと見られています。現場は建設が見込まれるリニアターミナル駅の真上でもあり、今後の開発の進捗に一抹の不安を残しました。 ■地上の高層ビル建設工事が影響か 名古屋市交通局などによると、午前3時ごろ、地下鉄駅北側の駅長室付近から大量の水が流れ込み、階段を伝って地下2階のホームへ。線路が冠水し、午前5時半の始発から車両の運転ができなくなりました。一部区間で運転見合わせや折り返し運転などをしながら排水作業を続け、丸半日がたってようやく運転再開にこぎ着けましたが、その後もダイヤは乱れました。 同駅は一日の乗降客数が平均約34万人と、同市の地下鉄駅で最多。繁華街の栄と東西の住宅地を5分間隔で結ぶ大動脈が、平日の通勤時間帯にストップしたことで、仕事や学校に遅れる人が出るなど大きな影響が広がりました。 名古屋地方気象台の観測によれば、この日の名古屋の降水量は最大で午前4時からの1時間に28.5ミリ。名駅付近で局地的に大雨が降った可能性はありますが、最近の時間100ミリ近くの大雨でもここまでの浸水被害が出たことはありません。 原因について、地下鉄職員は「駅長室の真上で行われている工事現場の排水口のようなところから一気に水が流れてきたようだ」と証言しています。実際に駅北側の地上では、JR東海が地上46階建ての「JRゲートタワー」を2016年のオフィス入居をめどに、日本郵便などが地上40階建ての「JPタワー名古屋」を15年秋の完成を目指して建設中です。今回は後者の工事現場から、仮設の給気口などを伝って大量の水が地下に流れ込んだと見られています。 ■リニア駅建設にともなう大改修も予定 現場付近はさらに、27年に開業を予定するリニア中央新幹線の名古屋ターミナル駅が地下30メートルに建設される計画があります。今回の再開発ビルもリニア開業を見据えた建設ラッシュの一環で、名駅自体も地下鉄や在来線とリニアを結ぶための大改修が見込まれています。 すでに上下に入り組んだ乗り換え動線を整理するため、工事はかなり難度が高くなるでしょう。また、名駅周辺はもともと周囲より海抜が低く、水が集まりやすい土地でもあります。名古屋市リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室は「原因が特定されていないのでまだ何とも言えないが、工事の際は水のことも考えてしっかりとした対策が必要だろう」としています。 10年掛かりの工事はまだ始まったばかりだと言えますが、ちょっとした“落とし穴”が何十万人に影響することがあるというつもりで、慎重に進めるようにしてもらいたいものです。 (関口威人/Newzdrive)