岡宮来夢「日本の作品は世界で待たれている」“進撃ミュ”ニューヨーク公演で感じた手ごたえ
ダイナミックなステージで、エレンとしてがむしゃらに
――これだけ海外でも日本のマンガ・アニメが人気なわけですからね。ニューヨーク公演を経て、エレンという役柄、あるいは『進撃の巨人』という作品そのものへの感じ方・考え方に変化はありましたか? それは、初演の時に演技プランも含めて考え抜いていたので、特に変わりませんでした。それよりも、慣れない環境の中でいかにコンディションを保つか、初演の後に自分が得た技術などでどうクオリティを上げられるか、といったことを考えていました。僕のエレン像としては、特に始まりの頃はかなり瑞々しくて、エネルギッシュで、器用じゃないからいい、っていう気がするんです。本当に舞台上で苦しくて、つらくて、悲しくて、怒っててっていうエレンの強いエネルギーが、たとえば喉をつぶさないためのテクニックだとかを気にして逆にお客様に届かないようなことになってしまったら、意味がない。そこのせめぎ合いというか、「これ以上やったら明日に響くな」っていう部分と「もう少しいけるかも」っていうギリギリを行き来しながら演じていました。 ――エレンは、感情の昂ぶりが本当に激しい役どころですもんね。 だから終わった後はすごく疲れてしまうんですけど、でも楽しくて。そこに僕を選んでいただいた理由もあるだろうし、それに応えたいと思うので。 ――植木豪さんの演出は、どういうところが魅力だと感じていますか。 ひと言ではとうてい言い切れないけど、あえて言うなら「ダイナミック」。僕は『進撃の巨人』の単行本を読んだ時に、ずっとクライマックスのテンションが途切れることなく続いている作品だと思ったんです。豪さんが演出する、ずっとダイナミックで一瞬も飽きさせない、一瞬も観客を離さないスピード感やテンポ感は、この作品にばっちり合っている。「これは豪さんだからできた作品だ」と思います。 ――そんな舞台におけるエレンとして、岡宮さんが思うエレンの魅力とは? BAは豪さんと一緒にずっと活動されてきた方が多くて、本当にハイレベル。そんなダンサーさんたちの中でセンターに立たなくてはいけないので、一生懸命練習してかなり頑張っています。そのがむしゃらな感じは、エレンと重なるんじゃないでしょうか。きっとエレンもけっして器用ではなくて、並大抵ではない、我々の想像をはるかに超える努力をしているだろうと思うので。 ――素敵な場面や楽曲ばかりの作品ではありますが、あえて特に岡宮さんお気に入りのシーン、あるいは楽曲を紹介してもらえますか。 これはニューヨーク公演であらためて思ったんですけど、ミカサのソロ(「ツナグ」)はすごくいい歌だなって。初演、そしてニューヨークで高月彩良ちゃんが演じたミカサはものすごく素敵でしたし、日本凱旋公演で七木奏音ちゃんが演じるミカサも楽しみ。ジャンもニューヨーク公演の松田昇大くんから日本凱旋公演では福澤侑くんに変わるので、また少し空気感も変わりますね。侑くんは初演でジャンを演じているけど、奏音ちゃんはある意味もうできあがっているカンパニーに入らなきゃいけないので、すごく大変だと思うんですよね。なるべくみんなでサポートできたらいいなと思います。 ――もしかしたら、そうやって皆でサポートするために結集するパワーが、日本凱旋公演そのもののパワーアップにも繋がりそうですね。 ニューヨーク公演を経て、皆自信もついたと思いますし。楽曲の話に戻ると、ミカサのソロと、幼少期の時のアルミンとエレンの歌(「A New Step」)、あと最後の方で兵士たち皆で歌う「Battlecry」。このあたりは特に聴き応えもあるし、「なんか、いいな」って。アルミンとエレンで歌う曲も、キラキラしていればいるほど、その後すぐに地獄が来るので、その落差がいいなって思います。 ――シーンについてはいかがですか。 BA(Blade Attackers)のシーンですね。ニューヨーク公演で、皆さん本当に世界レベルのパフォーマーなんだって実感しました。第一、豪さん自身がブレイクダンスの世界チャンピオンですし。身体表現を使った舞台っていう意味では間違いなく日本トップレベルだし、本当に素敵な楽曲ばかり。楽しみにしてもらえたらと思います。