バブル時代の憧れ「テスタロッサ」が3000万円ほどで落札! 走行距離1万7000キロ弱のカリフォルニアから出たことのないバリモノでした
この先、コンディションの良いモデルを探すのは難しい?
2024年8月15日~17日にRMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてフェラーリ「テスタロッサ」が出品されました。新車でのデリバリーから、1度もカリフォルニア州を出ていない同車の走行距離は、1万6856kmという数字をオドメーターに刻んだのみ。同車の詳細と落札価格についてお伝えします。 【画像】コンディション抜群!フェラーリ「テスタロッサ」を見る(全112枚)
1984年にデビューしたテスタロッサ
フェラーリが新世代の12気筒ベルリネッタとして、「テスタロッサ」を初披露したのは1984年10月2日、パリ・サロンの開催前夜のことだった。その会場となったのはパリのシャンゼリゼ通りにあるクラブ・リド。有名なナイト・クラブで最新のスーパーカーのワールドプレミアを行うという派手な演出は、フェラーリにとってはきわめて大胆な行動だったが、そこに招かれた者はみな、一瞬でその意味を理解した。テスタロッサはそれほどに華やかで、また艶やかなスーパーカーにほかならなかったのだ。 テスタロッサというネーミングもまた、フェラーリのヒストリーを熟知する者には感慨深いものであったに違いない。それは赤い頭、すなわちヘッドカバーを意味するもので、最初にその名を掲げたのは1950年代に登場した、赤いヘッドカバーを持つ1984ccの直列4気筒エンジンを搭載した「500TR」である。その伝統の車名が復活したことへの感動はどれほどに大きなものだっただろうか。
スタイリングはピニンファリーナが担当
テスタロッサのスタイリングを担当したのは、もちろんピニンファリーナだった。一見その派手な造形ばかりが話題になる傾向にあるテスタロッサのボディだが、実際にはそのエアロダイナミクスも当時としては究極的な域に達していた。たとえば当時の公称値によればCd値は0.36を実現。それは1980年代から1990年代にかけて飛躍的な進化を遂げた自動車のエアロダイナミクスの、まさに最先端を歩んだものともいえた。 前身となった「BB」シリーズと同様に、リアミッドに搭載されるエンジンは、F113A型と呼ばれるもので、180度のバンク角を持つV型12気筒であることにも変化はない。テクニカル面での最大の進化といえるのは、F113A型エンジンでは新たにDOHC 4バルブヘッドが新設計。これによって最高出力値はイタリア本国仕様で390psと、ようやくBBシリーズの最初期モデルである「365GT4BB」のそれを超越することになった。