配偶者などからの暴力、職場のセクハラ…悩んでいる女性に寄り添う専門相談電話「女性の人権ホットライン」とは?
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。11月19日(日)の放送では、法務省 人権擁護局調査救済課長の齊藤雄一(さいとう・ゆういち)さんと人権擁護委員の石床洋子(いしとこ・ようこ)さんを迎えて、「悩まず相談 女性の人権ホットライン」をテーマに話を伺いました。
◆“人権侵害”の実態
「人権」とは“人間が人間らしく生きていく権利”のことで、すべての人が生まれながらにして持っている権利です。そして、人権は憲法でも保障されており、お互いに相手を思いやり、違いを認め合って、自分の人権も相手の人権も大切に守りながら、ともに幸せに暮らせる社会を築いていけるよう尊重されるべきものです。 しかし、実際には、いじめ、職場でのハラスメント、パートナーや恋人からの暴力、インターネット上の誹謗中傷などによって、人権が侵害されるケースが後を絶ちません。また、今はジェンダー平等に向けた世界的な流れがあり、日本も女性の社会参加や活躍の場を拡大するよう、さまざまな政策を進めていますが、今もなお、男女の役割を固定的に捉える意識が社会に根強く残っていることも否定できません。 さらに女性は、性犯罪や性暴力、配偶者などからの暴力(DV)、職場におけるセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、妊娠・出産などを理由とする不利益な取り扱いなどの問題に直面することが多く、こうした被害から守られるシステムが必要です。
◆11月21日まで「女性の人権ホットライン」強化週間
「女性の人権ホットライン」は、女性の人権を守るために法務省が設置している専用相談電話で、齊藤さんは「全国共通番号(0570-070-810)にかけると、お近くの法務局につながるようになっています。法務局は、全国すべての都道府県に設置されていて、電話の応対は法務局の職員や人権擁護委員がおこない、女性をめぐるさまざまな人権問題に関する相談に応じます。そして、人権が侵害された疑いがあれば、調査をおこない、事案に応じて“啓発”“援助”“要請”などの適切な措置を講じています」と説明します。 そして現在は『全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間』(11月21日(火)まで)をおこなっており、通常時は午前8時30分~午後5時15分(平日のみ)で受付をおこなっているところ、強化週間の期間は、平日は午前8時30分~午後7時、さらに休日も午前10時~午後5時まで相談を受け付けています。 齊藤さんは「昨年の強化週間では1週間で661件の相談が寄せられ、なかでも、配偶者などからの暴力や職場でのセクハラに関する相談が多い傾向にあります」と補足。ちなみに、内閣府が2021年におこなった調査によると、これまで結婚したことのある女性のうち、約10人に1人が「配偶者などから暴力を受けたことが何度もあった」と回答しています。 “暴力”というと、殴る蹴るなど体を傷つける行為をイメージしがちですが、石床さんは、それ以外にもさまざまな暴力の種類があると言い、「例えば、無視や行動を監視・制限する行為、さらには、自分や家族に対して『危害を加えるぞ』などと脅迫する行為は“精神的な暴力”です。また、生活費を渡さない、外で働くことを制限するなどの行為は“経済的な暴力”ですし、嫌がっているのに性的な行為を強要することは“性的な暴力”です」と説明します。 また最近は、交際中の相手から被害を受ける「デートDV」の被害に遭う女性も多いそうで、「デートDVでも、嫌がっているのにポルノを見せる、裸の写真を撮る、避妊に協力しないといった“性的な暴力”や、お金をせびる、借金を強要する、無理にバイトをさせたり、辞めさせるなどの“経済的な暴力”がみられます」と分析。 こうした問題に直面したときに「女性の人権ホットライン」に電話をすれば、女性の人権問題に詳しい法務局職員や人権擁護委員が対応してくれます。相談は無料で、もちろん秘密は守られますので、石床さんは、「配偶者や交際相手との間や、家庭、学校、職場の関係などで違和感があれば、まずはお電話をしていただければ」と呼びかけます。