<解説>映画「誰も知らない」から20年 コミカルからシリアスまで変幻自在 “カメレオン俳優”柳楽優弥の魅力
その後も、2015年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「まれ」、「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系)、映画「ピンクとグレー」(行定勲監督)、「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」(福田雄一監督)など、話題作に立て続けに出演。
俳優として“完全復活”を果たした柳楽さんが、一皮むけた狂気的な演技を見せたのが、2016年に公開された主演映画「ディストラクション・ベイビーズ」(真利子哲也監督)だ。柳楽さんは、日々けんかに明け暮れる暴力的で野獣のような青年を、ほぼせりふなしで体現し、第90回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞など多数の賞を受賞した。
2017年には大河ドラマ「おんな城主 直虎」で大河ドラマ初出演。その後も、映画「銀魂」シリーズ(福田雄一監督)、「夜明け」(広瀬奈々子監督)、「ザ・ファブル」(江口カン監督)、「HOKUSAI」(橋本一監督)、連続ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)など、多数の話題作に出演し、コミカルからシリアスまで幅広いキャラクターを変幻自在に演じた。
2021年配信のNetflix映画「浅草キッド」(劇団ひとり監督)では、芸人としての成功を夢見る青年が、ビートたけしになるまでを好演。シャイだが、笑いには真剣なたけしさんの仕草や、独特な話し方を柳楽さんが緻密に表現し、見る者を圧倒した。2022年には、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」の“スター”で配信されたドラマシリーズ「ガンニバル」で、狂気をまとった“暴力警官”を演じ、強烈な印象を残した。
どんな役でも見事に演じきり、圧倒的な存在感を放つ“カメレオン俳優”の柳楽さん。「夏目アラタの結婚」「ライオンの隠れ家」でも、新たな一面を見せてくれるに違いない。俳優として輝きを増す柳楽さんの今後の活躍に、引き続き注目したい。