実は「節税」にならない?年間最大12万円の「生命保険料控除」の落とし穴
2023年も2ヵ月を切りました。生命保険等に加入している人は、自宅に保険会社から「控除証明書」が届いていることと思います。そして、この時期、保険の営業マンがよく使うセールストークに「生命保険料控除の枠を使って節税しましょう」というものがあります。しかし、実は、生命保険料控除は、税負担を抑える制度には違いありませんが、「節税」の制度といえるかどうかは微妙な面があります。本記事で解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
生命保険料控除とは
生命保険料控除は、生命保険等の保険料を支払ったら、その金額の一部について所得税・住民税の計算上、「所得控除」を受けられるという制度です。以下の3つの類型があります。 【生命保険料控除の3つの類型】 ・一般生命保険料控除:生命保険(定期保険、終身保険等)、変額個人年金保険が対象 ・介護医療保険料控除:医療保険、がん保険、就業不能保険等が対象 ・個人年金保険料控除:個人年金保険(変額個人年金保険を除く)が対象 ただし、加入時期が2011年以前であれば「旧制度」が適用されます。旧制度には「一般生命保険料控除」と「介護医療保険料控除」の2類型しかありません。 生命保険料控除の手続きは、年末調整(会社員・公務員)または確定申告(個人事業主等)の際、申告書に「控除証明書」を添付して申告します。 控除証明書は10月以降、各保険会社から送付されてきます。控除証明書には、保険種類、保険料の額、控除対象額等が記載されています。もし紛失してしまった場合でも、再発行してもらうことができます。
所得控除を受けられる額
控除を受けられる額は、「新制度」(2012年以降に加入した場合)と「旧制度」(2011年以前に加入した場合)で異なります(新制度は[図表1]、旧制度は[図表2]を参照)。 新制度の対象となる保険と旧制度の対象となる保険が混在する場合は、調整が行われます。 新制度の場合、控除を受けられる額の上限は、4万円×3類型の総額12万円です。もし、この上限まで所得控除を受けようとすれば、最低でも各枠について年間8万円ずつ、合計24万円の保険料を支払う必要があります。