池袋暴走事故から5年 松永拓也さん飯塚受刑者と面会…“やりとり”明かす
その通知書には、次のように面会を受ける意思が示されていました。 松永拓也さん(先月6日) 「本人は『対談をしてもいいです』と回答した。全てを聞き終えたあと『申し訳ない』と述べた…と書いてあります」
松永拓也さん(先月6日) 「初めて彼と真の言葉、心というのをかわせたような気がして。(面会したら)お互いの加害者になってしまった、被害者側になってしまったという経験を無駄にしないように、今後の事故が防がれるための糧になるように『一緒の視点をともに持ちましょう』と伝えると思います」 ◇ 事故から5年。29日に松永さんは面会の日を迎え、約50分、飯塚受刑者と面会しました。 松永拓也さん(29日午後5時すぎ) 「本日加害者と刑務所で面会しました。想像していたよりもかなりお年を召されていて驚いた。ご自身の言葉がうまく出てこないという感じで、具体的な回答をいただくことは難しかったが、イエス・ノーで回答はもらえたので、それはよかった」 「最初の質問で国や自治体でどのようなサービスがあれば、運転をひかえたり免許返納を考えていましたかという質問をした。『病院に行くサービスがあればよかった』と話していました」
「国や自治体は、もっとそういう方を支えてほしい。いまもサービスはあるが、多くの高齢者や家族が認知しているか、たぶん知らない方もいっぱいいると思う」 「そういうことをふまえて質問したら、彼も病院にいくサービスがあればよかったといっていましたので、これは非常に大きな言葉なのではないかと」 「加害者になった経験をふまえて、再発防止の観点から、世の中の高齢者や家族に伝えたいことはあるか、質問をした」 「これに関しては『早く免許をかえすように伝えてください』と言っていた。これは、ご自身の言葉でしゃべっていました」 「それをふまえて国や自治体に伝えたいことは?と質問したところ、高齢者の方の支援をしてほしいと言っていた」 「最後の最後には『ありがとうございました』と、しぼり出すような感じで。正直、言葉がうまく出てこない感じだったので、何個かあきらめた質問もあった」
「彼のことばの中に必ず、再発防止のヒントが隠されている。これは事実だと思う。妻と娘の命が戻ってくれば一番なんですけど、この5年間それがかなわないことに向き合い続けてきて、私にとってこの今回の面会が、2019年におきた池袋暴走事故の集大成だと」 「あの苦しみの日々のあとに、刑事裁判、民事裁判とやって、加害者と面会して、それを再発防止につなげる。彼の言葉を再発防止につなげることが、私にとって池袋暴走事故の集大成だと位置づけている」