生田斗真「ゾクゾクする感じを久しぶりに楽しみたい」 いのうえ歌舞伎新作『バサラオ』で劇団☆新感線公演リベンジ!
劇団☆新感線44周年興行にして主演の生田斗真、生誕39年を記念するサンキュー公演!?と銘打ったいのうえ歌舞伎『バサラオ』(中島かずき作、いのうえひでのり演出)が、7月の福岡・博多座公演から始動する。劇団☆新感線では5作目の登場となる生田だが、前作の『偽義経冥界歌』(2019-2020年)ではコロナ禍による博多座全公演中止の無念に涙した。そのリベンジを果たすべく、新作を提げてまずはかの地、福岡へ。その後は東京・明治座に劇団☆新感線初進出、さらに大阪公演へと続いていく。島国ヒノモトを舞台に展開するのは、己の美しさを武器に天下取りを目論む男、ヒュウガを中心とした痛快ピカレスク活劇だ。中村倫也、西野七瀬、りょうなど豪華客演陣のほか、生田が熱望した劇団の看板俳優、古田新太との舞台初共演など注目必至の話題作。本作公演中の秋には不惑を迎える生田が、いざ魅惑の挑戦へ! 【全ての写真】生田斗真の撮り下ろしカット
クセの強い悪役が気持ちよくなってきた
――新作『バサラオ』、(取材の)前日に本読み稽古をされたばかりと伺いましたが、その感触を教えていただけますか? とにかく見応え満点ですね。歌、踊りの煌びやかさ、悪役が主役という物語の面白さ。劇団☆新感線らしい絢爛豪華な世界です。僕が演じるヒュウガという役は悪と美を持ち合わせたキャラクターで、“美しさを武器にする”なんて非常に畏れ多いけれど(笑)大胆に暴れ回りたいですね。美で世界征服を企む男の魅力と浅はかさを、精一杯届けたいと思います。 ――劇団☆新感線での前作『偽義経冥界歌』も相当なエネルギーを必要とする舞台だったと思いますが、今回もそれに匹敵するほどの体力勝負なところも? そうですね。『偽義経~』の時に、もうこんなキツい舞台は今後、年齢的にも多くないだろうなって思ったんですけど、甘かったですね(笑)。新感線の人たちはちょっとおかしいんですよ。普通なら年齢が上がるにつれて立ち回りを減らすとか、落ち着いた芝居にすると思うんですけど、逆に大変さがどんどん増えていく(笑)。僕は今年40になりますけど、ここでは若手ですから。初めて劇団☆新感線の舞台に立ったのが17歳だったので、劇団員の皆さんは僕を「親戚の子が大きくなった~」みたいな感じで見ているんですよ。ずっとピュアな気持ちを持ち続けている、貴重な人たちだなと思います(笑)。 ――悪役が魅力的に描かれる、劇団☆新感線ならではのピカレスク活劇ですね。 ここ最近、クセの強い悪役のお仕事をいただくことが多いんです。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で演じた源仲章とかもそうだったんですけど、「あの人、最低!」とか「本当に嫌な役ですね」って言われるのが気持ちよくなってきて(笑)。今回は(中村)倫也や西野(七瀬)さんのファンの方々に嫌われないよう、やり過ぎに注意します。演出のいのうえひでのりさんは、板(舞台)に乗った人たちのフォーメーションの綺麗さとか、格好とか、そうした見た目の美しさ、様式美みたいなことをすごく突き詰めていらっしゃる。だから“歌舞伎”なんですよね。そこが新感線の特殊なところかなと思います。感情の揺れ動きはあっても、それがどう観えるかということ。どれだけ心が泣いていても、泣いているように観えなければ、それは泣いている芝居にはならない。お客さんがどう感じるか、どう観えるか、そこを追求しているのが劇団☆新感線の舞台ですね。