生田斗真「ゾクゾクする感じを久しぶりに楽しみたい」 いのうえ歌舞伎新作『バサラオ』で劇団☆新感線公演リベンジ!
古田新太が手を抜けないようにするのが自分の役目
――ヒュウガの参謀となるカイリ役の中村倫也さんとは、2016年の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』以来、8年ぶりの劇団☆新感線での共演になります。どんな期待がありますか? 『Vamp~』の時は、実はそんなに絡むシーンは多くなかったんです。でも今回はボスと参謀といった感じでずっと一緒。中村倫也の魅力をより肌で感じることが出来るのかなと、楽しみにしています。板の上に立つその人がどう生きてきたか、どんな経験をして来たのかが透けて見えるのが演劇だと思うので、お互いに8年の時を経て、何を経験してどんな要素が加えられ、何を削ぎ落としてきたのかを再確認し合いながらやっていくことになるだろうなと。心から信頼出来る俳優です。 ――新感線5作目にして、念願の古田新太さんとの共演が実現しますね。あの怪演に対峙する策は? 本当に、念願叶ってようやく怪物と対峙します(笑)。破天荒だけど、芯は優しくて柔らかい人。昨日の本読みにしてもやっぱり面白いんですよ。古田さんが台詞を言うとボーンと笑いが起きる。昨秋の舞台『天號星』でも、やっぱり古田さんってすげえんだな!とあらためて思わせてもらえたので。それはきっと早乙女兄弟(早乙女太一、友貴)らのエネルギーに負けてられねえぞ!って思った部分もあったと思うんですよね。そういう意味で、古田新太が手を抜けないようにするのが自分の役目かなと思います(笑)。 ――17歳で劇団☆新感線に初参加してから、39歳で挑む今回の舞台まで、表現に関する意識の変化、発見などはいかがでしょうか。 そうですね。少し前に、高校の同級生だった尾上松也の誘いで、初めて歌舞伎公演に出させてもらったんです。これまで日本舞踊を趣味でやっていたんですが、どうやらその踊りを気に入ってくれて、じゃあ一緒にやろうということになって。その舞台が、すごく自分にフィットしたというか。先ほどの話と近いんですけど、心でどう思うかというよりも、どう見えるか。「形がこうあったほうがカッコいい」といった考え方がバチッと自分の中でハマったんですよね。それと同時に、自分自身のバックボーンをとても実感して。三味線の音とか和太鼓の音とか、自分の素足で踏み鳴らす板の音とか、お客さんの拍手とか、全部が合致したときに、本当にこれまでにない興奮を味わって。自分ってやっぱり日本人なんだな、日本の俳優なんだなということを再確認したように思いました。それは最近、強く感じたことのひとつでしたね。 ――今回の公演中に40歳を迎えますね。いわゆる不惑ですが、“これに関しては迷いはない”と言えることはありますか? どうなんですかね~。やっぱり日々選択なので、毎日迷っているような感じがしますけど、ただ不安はないですね。それは、人に恵まれているということだと思うんです。自分ひとりで“なんとかしなければ!”とヘンに肩肘張って、周りを敵視し(笑)、みたいな時期も経て、今はある程度どこか無責任に、肩の力を抜いて仕事に向き合えるようになってきたかなと。「こんな40歳でいいのかな~」「もっと大人になっているはずだったのに~」と思うけど、たくさんの先輩方から「俳優は40を越えてからだよ」と言われるので、楽しみたいなと思います。ここ数年、いただく役柄も明らかに変わって来ているんですよ。30代前半じゃあ絶対に来なかった役だな、と思うお話をいただくので、すでに楽しみが前倒しで来ている感じはありますね。