大小632基の灯籠浮かべ内浦湾で海施餓鬼会 鴨川の誕生寺(千葉県)
物故者の供養で海上に灯籠を流す、鴨川市の日蓮宗大本山誕生寺(片桐日岳貫首)の海施餓鬼流灯会(うみせがきりゅうとうえ)が10日夜、「鯛の浦」として知られる同市の内浦湾で行われた。船上から放たれた大小の灯籠が、オレンジ色の光の帯となり、檀信徒らが手を合わせていた。 同寺によると、元禄地震の大津波で溺死した地域住民の追善供養が始まりという。灯籠を流すようになったのは戦後からで、現在は檀信徒の祖先をはじめ、戦没者や水難者の供養も行っている。 コロナ禍の間は、感染拡大防止のために、小湊漁港の岸壁から流していたため、鯛の浦での実施は5年ぶりとなった。 同寺祖師堂で海施餓鬼法要を行った後、夕闇が下りる中、鯛の浦遊覧船発着場で法要を行い、檀信徒らは2隻の遊覧船に乗り込んだ。読経とうちわ太鼓の音を響かせながら沖合に出ると、大灯籠32基が浮かぶ海に、小灯籠約600基、水塔婆約250枚が、次々と浮かべられた。 月明かりの下、波間に浮かぶ灯籠が優しく海面を照らし、海岸で見ていた観光客や、堤防の釣り人も、幻想的な眺めに見入っていた。 東京から参加した50代の女性は「久しぶりの洋上での供養に参加できて良かった。今年は特に波の流れが良くて、素晴らしい眺めでした」と目を細めていた。 当日の様子の動画は、房日新聞ユーチューブで見られる。