【ドラフト2024】地元に超有望選手が目白押し 広島が獲得したい実力と人気を兼ね備えた逸材たち
渡部は、宗山とは広陵時代のチームメイトで、大学でも4年間中心打者を務め、侍ジャパン大学代表の常連として国際大会でも活躍。強肩と抜群の守備力もプロ級で、この夏から自らの可能性を広げるため三塁手としてのスキルも磨いている。 だが渡部は1位で消える可能性もあり、その時の手当てもしておかねばならない。ファンが望む「右打ちの強打者」はそう多くはないが、佐々木泰(県岐阜商→青山学院大/三塁手/178センチ・82キロ/右投右打)と、渡邉悠斗(堀越→富士大/一塁手/181センチ・97キロ/右投右打)を推す。 佐々木は、常勝・青山学院大で1年春から中心打者として出場するなど、高い経験値にここ一番で発揮する長打力。無意識のうちに10割打とうとしているような生真面目さが打撃を崩すこともあるが、背格好やプレースタイルは"堂林翔太"にそっくりだ。 渡邉はネームバリューこそ高くないが、右のパワーヒッターとしては学生球界屈指で、ちょっとでも甘く入るとあっさりスタンドに放り込む怖さを持つ。三塁だけでなく捕手もこなし、なにより高校、大学の7年間、故障知らずの強靭な心身が"カープ向き"ではないか。 【備えあれば憂いなし】 今シーズンの戦いを振り返り、功労者のひとりが捕手の石原貴規(5年目)だろう。昨季はずっとファームだったのが、今年はベテラン・會澤翼とともに投手陣を懸命に支えた。とはいえ、會澤も来季19年目の38歳。ケガも多く、消耗の激しいポジションだけに、たしかな技量を持った捕手を獲っておきたい。 鉄砲肩ならすでに球界トップクラスと言ってもいい石伊雄太(近大高専→近大工学部→日本生命/捕手/179センチ・83キロ/右投右打)に、同じく強肩の笹原愛斗(真颯館→九州共立大/捕手/181センチ・85キロ/右投右打)も注目の選手。
また、ケガが多く、心身の負担も大きいショート。スピード抜群のプレースタイルが身上の矢野だからこそ、もしもの時の備えが必要だ。宗山ともうひとり獲るなら、矢野に近いディフェンス能力を有する選手じゃないと意味がない。浦田俊輔(長崎海星→九州産業大/遊撃手/170センチ・70キロ/右投右打)の守備力なら、状況判断、精度、スピードと矢野と遜色ない働きを期待できる。タイプは少し違うが、山縣秀(早大学院→早稲田大/遊撃手/176センチ・80キロ/右投右打)は球際に強く、フィールディングの安定感が抜群。 そして今年は、忘れちゃいけない"鉄腕"が地元・広島にいる。全国屈指の強豪校で1年夏から背番号1を背負ってきた高尾響(広陵/投手/172センチ・73キロ/右投右打)だ。実戦のマウンドで「これでもか」というほど能力を発揮して、さらにまだ力を隠し持っていそうな底力を感じてしまう逸材......私がイメージする高尾の未来図は、栗林良吏である。
安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko