自分では気づけない!?早期発見が難しい「卵巣がん」になりやすい人の特徴とは
自覚症状に乏しく、自分では気づきにくい「卵巣がん」。女性特有のがんの中では、最も死亡率が高いとされます。 【画像】自分では気づけない!?早期発見が難しい「卵巣がん」になりやすい人の特徴とは 卵巣がんになりやすい人の特徴や、早期発見のための検診などについて、産婦人科医で森女性クリニック院長の森久仁子氏に聞きました。
Q.卵巣がんとはどのようながんですか
卵巣は子宮の左右に1個ずつある2~3cmの臓器で、卵子を含む卵胞(卵子に栄養を供給する液体が入った袋の)の貯蔵と成熟の促進、排卵を司ります。この卵巣に発生する悪性腫瘍が「卵巣がん」です。 卵巣がんは上皮性腫瘍、胚細胞性(はいさいぼうせい)腫瘍、性索間質性(せいさくかんしつせい)腫瘍の3つに分けられ、上皮性腫瘍が全体の90%以上を占めます。上皮性腫瘍はさらに、漿液性腺がん、明細胞腺がん、類内膜腺がん、粘液性腺がんなどに分けられます。 また、多くの卵巣がんは急激に発生します。良性や境界悪性腫瘍を経過して、ゆっくりがん化するケースは少ないのが特徴です。 卵巣がんは罹患数・死亡数ともに近年増加しており、女性生殖器にできるがんの15%を占めます。女性特有のがんの中では死亡率が最も高く、日本では40歳代から増え始め、50~60歳代でピークを迎えます。胚細胞性腫瘍などは10~20歳代の女性に多いです。
Q.卵巣がんの原因やなりやすい人の特徴には、どのようなものがありますか
卵巣がんの原因はまだ十分には解明されていませんが、なりやすい人には以下のような特徴があります。 ・出産経験がない、初経が早い、閉経が遅い 卵巣がんは排卵の回数が多いほど罹患リスクが上がると考えられています。そのため、出産経験がない、初経が早い、閉経が遅い人は、排卵の回数が増えるためリスクが高くなります。 ・子宮内膜症で起こるチョコレートのう腫 子宮内膜症(※1)が原因で起こる「卵巣チョコレートのう腫(※2)」から、明細胞腺がんや類内膜腺がんの多くが発症すると考えられています。そのため、子宮内膜症がある方は注意が必要です。卵巣チョコレートのう腫の0.7%程度ががん化すると報告されています。年齢の増加やのう腫の増大とともにがん化のリスクが高まり、のう腫の大きさが10cm以上になるとリスクはさらに高くなります。 ・遺伝的な要因 卵巣がんになりやすい遺伝的な要因を持つ人もいます。卵巣がんの約10~15%は、主にBRCAという遺伝子の変異が原因とされています。BRCA遺伝子に生まれつき変異を持つことで卵巣がんや乳がん、前立腺がんや膵臓がんなどのがんが発生しやすい状態を、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と言います。 HBOCでは一般的に若年発症・重複がん発症・男性乳がん・両側乳がん発症の傾向があり、また血縁者も同様に変異がある可能性があるため、家系内に卵巣がん(卵管がんや腹膜がんも含む)や乳がんなどが好発します。両親のうちどちらかがHBOCであれば、その子どもが遺伝子変異を受け継ぐ可能性は2分の1です。 ただしHBOCであっても、発症しやすい体質であるだけで、卵巣がんや乳がんにならない場合もあります。 ・喫煙などの生活習慣・肥満 卵巣がんは、喫煙や動物性脂肪の多量の摂取との関係が報告されています。