ジョシュ・バーネットが語るUFC以前のアメリカ格闘技界。「フェイクの武道やカンフーが横行していた」
「宗家が本当に素晴らしい技術を持っていたとしても、弟子たちも同じ技術を持っているかといえばそれは違う。師匠の教えをしっかりと覚えていて同じ技術を使える人がいれば、全く違うフェイクのような技術しか使えない人もいる。後者のようなプロセスになると、本来追い求めていた武道とは全く違うものになってくる」 負傷のため途中棄権した『UFC3』を除き、『UFC1』から『UFC4』まで3度もトーナメントを制しているのだから、UFC初期のスターはヒクソンの実弟であるホイスであることは間違いない。なぜそんなに強かったのかといえば、ホイス以外の出場選手たちは誰もブラジリアン柔術のことを詳しく知らなかったからだろう。 ジョシュも「ホイスが初めて出てきた頃は、みなブラジリアン柔術のことなど知らなかった」と言う。 「だから柔術のテクニックは初期にはかなり有効だったと思います。クリンチしたり、距離を詰めたりしながら、その距離に特化した技術を出せる。グラウンドで下になったときでも、一番有効な技術を出すことができる。あの時代のホイスは誰も知らない技術を持っていたという点で強かった。もうひとつ強かった理由を挙げれば、UFC以前からすでに道場で道場破りたちと異種格闘技的な闘いを経験済み、ということも大きな自信につながったんだと思います」 しかし、ジョシュがホイスに憧れ、ブラジリアン柔術の一流派であるグレイシー柔術を習うことはなかった。尊敬していたのはホイスのライバルであるケン・シャムロックやダン・スバーンだった。いずれもレスリングをバックボーンに持つファイターだ。 「だから総合格闘技をやる際にも自然とレスリングのほうに力を入れるようになりました」 そんなジョシュにとってUFCとともに、初めて映像を見たときには「いったいこれは何?」と大きな衝撃を受けたものがある。それは日本で生まれたUWF系プロレスだった。 (つづく) ■ジョシュ・バーネット主宰のプロレス団体「ブラッドスポーツ 武士道」が日本上陸! 6月22日(土)/東京・両国国技館 ジョシュ・バーネットvsジョン・モクスリーのメインイベントのほか、鈴木みのる、桜庭和志、船木誠勝、クイントン・〝ランペイジ〟・ジャクソンらが参戦! 詳しくは「ブラッドスポーツ 武士道」公式ホームページへ 文/布施鋼治 写真/長尾 迪