老舗の宿、改装オープン 氷見・女良、震災乗り越え 虻が島越しの眺望守る
●地域活性化の推進役に 七尾市境に近い氷見市女良地区で県名勝・天然記念物の虻が島越しの立山連峰を眺望できる宿が8月1日、リニューアルオープンする。創業110年余の歴史を誇る老舗の宿が能登半島地震の震災を乗り越え、装いを新たに地元のランドマークとして地域活性化の推進役を担う。 リニューアルオープンするのは、和のオーベルジュ「Hashimotoya」(旧料理旅館はしもと屋)。2階の3部屋はいずれも開放的な室内や風呂から海を眺め、ゆっくりと過ごせる。4代目の橋本卓弥さん(43)は「日常から離れ、ここでしかない時間の流れを味わってほしい」と期待する。今後は曜日を設定してランチの提供も検討する。 旧料理旅館はしもと屋は1912(明治45)年に創業し、虻が島越しの立山連峰の眺望を楽しむ観光客らが宿泊した。47(昭和22)年には板画家(はんがか)棟方志功も投宿し、風景や食材を画家仲間と描いた作品がロビーに展示されている。 能登半島地震で地元は3週間余断水が続き、建築中の建物の外壁が一部損壊するなどの被害に見舞われたが、震災を乗り越えて1日の改装オープンにこぎ着けた。橋本さんは「虻が島越しの立山連峰の景色を守り、地域のランドマークとして県外や海外から多くの人々が集えるようなプラットホームをつくり、地域活性化を目指したい」と意気込んだ。