太陽系から一番近い「単一の恒星」…惑星の“友だち”がいた
[クァク・ノピルの未来の窓] 6光年の距離のバーナード星、5年の観測の末に惑星の存在を確認
太陽系に住んでいる私たちにとって、一つの恒星と複数の惑星が形成する太陽系の構造はきわめて自然に感じられる。 しかし、銀河系に目を向けると、太陽系のような構造の惑星系はむしろ非主流に属する。惑星を8個も従えているケースはさらに珍しい。 科学者は連星以上の多重星系が85%で大半を占め、一つの恒星だけで構成された単星系は15%程度と推定する。しかし、同伴星を持つ確率は星が小さいほど下がり、太陽級の質量を持つ星では多重星系が44%、単星系が56%であるとみている。 太陽系に最も近い恒星であるケンタウルス座アルファ(α)星も多重星系だ。太陽系から4.37光年の距離のケンタウルス座アルファ星AとB、4.22光年の距離のプロキシマ・ケンタウリ)の3つの恒星で構成されている。 では、太陽系のように一つの恒星だけで構成された惑星系のうち、最も近いものは? 6光年の距離にあるバーナード星(Barnard's star)だ。ケンタウルス座アルファ星に次いで2番目に近い恒星でもある。 バーナード星は質量が太陽の16%、大きさは太陽の19%の赤色矮星だ。質量が太陽の8~50%である赤色矮星は、核融合が可能な恒星のうち最も小さく、太陽よりも温度が低く赤い色で輝く。 発見から100年以上たったにもかかわらず、この星ではまだ惑星が発見されていなかった。2018年に地球より少なくとも3倍の大きさの惑星を発見したという発表があったが、のちに星の動きを誤って判断したことが明らかになった。 ■地球の質量の40%…主星との距離は290万キロメートル 欧州の天文学者たちが、チリ南部のアタカマ砂漠にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で5年間観測した結果、ついにこの星で惑星を発見し、国際学術誌「Astronomy & Astrophysics(天文学および天体物理学)」に発表した。 この望遠鏡には、周囲の惑星の重力で微小に揺れる星の光を捉える視線速度法(radial-velocity)で太陽系外惑星を探索する分光器「ESPRESSO」が設置されている。研究チームは、スペインとチリの他の天文台でのさらなる観測を通じて惑星の存在を検証したと明らかにした。 論文の筆頭執筆者であるスペインのカナリア天体物理学研究所のホナイ・ゴンザレス・エルナンデス博士は、報道資料を通じて「長い時間がかかったが、見つけられるという確信はあった」と語った。 新たに発見されたバーナードbは地球の質量の40%に当たる惑星で、水星~太陽の距離の5%に過ぎない距離(290万キロメートル)でバーナード星を3.15日に一回ずつ公転する。 研究チームは「これまで知られた系外惑星のうち地球より質量が小さいものは数少ないが、バーナードbはその中でも最も小さい方に入る」と述べた。 ■表面温度125度…生命体には不適格な環境 しかし、研究者たちはこの惑星の条件は生命体には適していないと述べた。星の表面温度は太陽より2500度低いが、主星に近すぎるため惑星の表面温度が125度にもなる。液体の状態で水を保つことはできない。 研究チームは「この恒星には、地球より小さい惑星がさらに3つ存在する可能性もあることが分かった」と明らかにした。これはさらなる観測で確認する計画だ。 現在アタカマ砂漠に建設中の周径39メートルの最大型望遠鏡(ELT)が完成すれば、恒星の周辺のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にある小さな岩石型の系外惑星をもっと見つけられるようになるだろうと研究チームは期待している。 論文の共同執筆者であるアレハンドロ・スアレス・マスカレーニョ博士は「今回の発見は、宇宙の裏庭に質量の小さい惑星が数多く存在するということを示している」と語った。太陽系から最も近いケンタウルス座アルファ星系のプロキシマ・ケンタウリでは、これまで3つの惑星が確認されている。 *論文情報 A sub-Earth-mass planet orbiting Barnard”s star. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202451311 クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)