防災に福祉支援充実 首相、法改正を指示
政府は昨年12月20日、2026年度中の創設を目指す「防災庁」に関連し、全閣僚が参加する「防災立国推進閣僚会議」の初会合を開いた。災害対策基本法や災害救助法の改正案を1月下旬からの通常国会に提出する方針を確認した。石破茂首相は「災害対応を新たなステージに引き上げる」とし、被災地における福祉支援の充実、ボランティアとの連携促進の視点で法改正に臨むよう坂井学防災担当大臣に指示した。 法改正の柱の一つが「福祉支援」だ。高齢者など配慮が必要な人や、在宅避難する人らに対応するため、救助の種類に「福祉サービス」を追加する。福祉関係者との連携も強化する。 ■内閣府職員倍増で地方自治体を応援 もう一つの柱が「国による地方自治体への応援体制の強化」だ。 内閣府防災部門の定員は現在110人だが、25年度は定員を倍増する方針。拡充する定員の約半数は、「地域防災力強化担当」として都道府県と関係省庁との間の調整役を担う。 職員は自分の担当する都道府県について、平時は備蓄促進などを支える。発災時は現地で被災状況の把握や避難所環境の確保に努める。政府は都道府県側にも連携する担当職員の配置を要請する。 防災に関する施策は各省庁にまたがっており、自治体がワンストップで情報を得たり伝達したりすることがしにくいことがかねて問題視されていた。 政府は内閣府に次官級のポスト「防災監」を新設することをすでに決めていたが、今回、具体的に動く担当職員を増やすことを明らかにした。 石破首相は昨年12月19日の「第10回防災推進国民会議」でも「避難所が今のままでいいと全く思っていない。イタリア、台湾など学ぶべき事例はたくさんある」と述べた。 国民会議は清家篤日本赤十字社長を議長とし、全国社会福祉協議会、日本障害フォーラム、日本介護福祉士会など福祉関係団体の代表も参加している。