ヨット『世界一周』単独無寄港・無補給 史上最年少24歳 2度目の挑戦で達成 「行った人にしか見せてくれない景色もあるんだ」8カ月間の記録
■荒波にもまれる日も一人…体重は12キロ減
総航行距離およそ5万2000キロ。8カ月ほどにも及ぶ冒険の記録だ。 木村啓嗣さん:雲が虹を作っています!見えるかな?すごく低いんですけど。 序盤はスムーズで、海の上での生活を満喫している様子だった。しかし…。 何が起こるか分からないのが海。 木村啓嗣さん:横からも波が来ている状態です。波がめっちゃ高い! 頼れるのは自分だけ。雲行きが怪しくなると…。 木村啓嗣さん:つかむところを増やしておこうと思って、こういうハンドホールドを増やしたり。ただ、船さえ壊れなければな、という気持ちは非常に強いです。 荒れる海、吹き付ける風。大海原では耐えるしかない。 木村啓嗣さん:一連のトラブルからメインセール(主帆)を下ろして、今はジブセール(前帆)だけで帆走しています。今後の可能性を含めてきちんと走っていけるように、プランを考えていかないといけないなと思っています。 外は雨ですね。船にぶつかった波は上に引き上がってきます。 ヨットの命とも言える帆が破れても、自分で縫い直すしかない。 荒波の影響で、食事や睡眠が満足に取れない日も続き、疲労は極限に。体重はおよそ12キロも減っていた。 その一方で、穏やかな時は海の素晴らしさに癒やされることも。 木村啓嗣さん:かなり穏やかな風で進んでいます。 イルカが泳いでいます!見えたかな、今?イルカさんが一緒に泳いでくれています! つらいことも、うれしいことも、たった一人でかみしめてきた。そんな一人ぼっちの冒険も7カ月を超え、ゴールが近づくと…。 木村啓嗣さん:1日1日、1時間1時間の重みを感じながら走っている…そんな状態です。
■ついに記録更新「この経験を自分だけのものにしないように」
6月8日午後2時頃。海の上空を飛ぶヘリコプターからは、無事に帰ってきた木村さんのヨットが見えた。 記者リポート:木村さんがこちらに向かって手を振ってくれています!とてもいい笑顔です。 231日の航海を終え、紀伊水道でゴール。見事、日本人最年少で世界一周の記録を更新した。 木村啓嗣さん:やっぱり日本が見えた時はめっちゃうれしいというか、楽しいというか…。うれしい以上の言葉がないと表現できない。本当に自分はやったんだと。 人と直接触れ合うのはおよそ8カ月ぶり。陸に上がって一番楽しみだったのは…。 木村啓嗣さん:ついに揚げ物。うまい!うまい!うまい! 姉・咲貴さん:こうやって帰ってきてちゃんとご飯をおいしそうに食べているのを見ると、安心します。 決して穏やかな日ばかりではない大自然への挑戦を終え、どんなことを感じているのか。 木村啓嗣さん:見たことがないものを見たり、知ったりできたことは非常に自分の中での世界観が広がって、行った人にしか見せてくれない景色もあるんだなと思いました。自分が経験したこのプロジェクト自体を自分だけのものにしないように、子どもたちがチャレンジングな人生を歩めるための活動をできたら。絶対にしたいなと思います。 (関西テレビ「newsランナー」2024年6月10日放送)
関西テレビ