サニブラウン衝撃9秒台で東京五輪100m代表争いはどうなる?
一方、東京五輪の参加標準記録(10秒05)を突破しているのはサニブラウンひとり。桐生と山縣はまだ届いていない。ふたりは5月19日のゴールデングランプリ大阪に出場予定。9秒台が最大の目標になるが、ともに10秒05はクリアしておきたいところだ。 バトンミスが起きた世界リレーでは、山縣を2走、桐生を4走に起用するなど、従来の基本オーダー(1走・山縣、2走・飯塚、3走・桐生、4走・ケンブリッジ)を大きく変更した。 「サニブラウン君をリレーチームにどうやって迎えいれるか。今回のオーダーもそこを想定して考えました。サニブラウン君は3走のタイプではない。2走は大学で経験していますし、インドアの日本記録レベルのスタートを持っているので1走でもいいですし、勝負強さを考えると4走もいい。エース級をどこに置くのか決めて、その他を特殊な能力の選手が埋めていくことになると思います。そういう意味では、誰が何走なのかを決めてしまうのは戦略上よくないので、こういうチャレンジをしました」と土江コーチは説明する。 山崎一彦強化委員会トラック&フィールドディレクターも世界リレーを総括するなかでサニブラウンの可能性についてこう話している。 「9秒台でもあんまり驚かなくなった。凄いことが起こったなと思っています。ずっと期待してきましたが、100mの9秒台だけでなく、200mも19秒台を狙える選手。世界リレーのタイミングで9秒台の朗報を聞けたことは選手たちが一番刺激を受けていると思いますし、選手層の厚みが出る。ドーハ世界選手権がかなり楽しみになってきましたね。新しい挑戦の可能性がかなり広がったということです」 リオ五輪で銀メダル、ロンドン選手権で銅メダルを獲得している男子4×100mリレーは、東京五輪で「金メダル」を目指している。“夢”のような目標のように感じたが、サニブラウンの加入で、現実感のある目標になるだろう。 6月末の日本選手権では山縣、桐生、サニブラウンが激突する予定。どんなタイムが刻まれるのか。楽しみで仕方ない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)