サニブラウン衝撃9秒台で東京五輪100m代表争いはどうなる?
世界リレーの男子4×200mリレーで1走を務めた宮本大輔(東洋大)は、「2年ほど前から出せる要素を持っていたと思うので、9秒台が出たと聞いて、そこまで驚きませんでした」と素直な感想を口にした。 そして、「誕生日が1か月違いなので、ほぼ同学年。そういう選手が日本人2人目となる9秒台を出して、また離されてしまったんですけど、しっかり食らいついていきたい。階段を登っていかいないと高いところに到達しないので、少しずつ上げていきたいです」とサニブラウンの活躍に大きな刺激を受けた様子だった。 年下の宮本は追いかける立場だが、日の丸を背負ってきた先輩スプリンターたちの胸中は穏やかではないだろう。特に100m日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)と昨年10秒0台を連発した山縣亮太(セイコー)にとってサニブラウンの存在は“脅威”になる。 100mをメイン種目とする現役スプリンターの自己ベストは、桐生9秒98、サニブラウン9秒99、山縣10秒00と3人が僅差で続いている。その他にも多田修平(住友電工)が10秒07、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が10秒08というタイムを持っている。 世界選手権やオリンピックの個人種目代表は各国3枠。サニブラウンの完全復帰で、個人種目の代表争いはもちろん、リレーメンバーの争いも熾烈を極めることになる。なお、今年9~10月に開催されるドーハ世界選手権の「日本代表選手選考要項」は以下の通り。 (1)日本選手権終了時点における内定条件 1)日本選手権終了時点で参加標準記録を満たした、日本選手権優勝者。 2)ドーハアジア選手権の個人種目で優勝した日本選手権優勝者。 (2)日本選手権以降の内定条件 1)日本選手権終了後から 2019 年 9 月 15 日までに参加標準記録を満たした日本選手権優勝者。 (3)2019 年 9 月 16 日における選考条件 ※下記の数字の若い順に優先する。 1)参加標準記録を満たし、2019 年 9 月 16 日時点 IAAF ワールドランキングにおいて日本人上位の競技者。 2)参加標準記録を満たした、ドーハアジア選手権優勝者。 3)参加標準記録を満たした、強化委員会が推薦する競技者。 4)ドーハアジア選手権優勝者で、強化委員会が推薦する競技者。 (4)ファイナルエントリー後の IAAF ランキングによる追加条件 参加標準記録を満たしていないが、IAAF からランキングによる追加が認められた強化委員会が推薦する競技者。 男子100mを当てはめてみると、現時点でドーハ世界選手権の参加標準記録(10秒10)を突破しているのは桐生とサニブラウンのふたり。どちらかが日本選手権で優勝すれば即内定となる。桐生はドーハアジア選手権を制しているため、日本選手権で勝つことができなくても、(3)の1)と2)に該当するため、代表選出は濃厚な状況だ。 従来とは異なり、参加標準記録を突破しておけば、日本選手権で上位に入ることができなくても、IAAF ワールドランキングで選ばれる仕組みになった。そのため今後は、IAAF ワールドランキングの順位を上げる「戦略」が必要になってくる。