ケネディ氏の保健福祉長官就任で公衆衛生は危機に、ノーベル賞受賞者77人が上院に書簡 米紙報道
(CNN) ノーベル賞受賞者77人が、米上院に宛てた9日付けの書簡の中で、ロバート・ケネディ・ジュニア氏の保健福祉省長官指名に反対する考えを表明した。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。 書簡にはノーベル化学賞、経済学賞、生理学・医学賞、物理学賞の受賞者らが署名。ケネディ氏のワクチンへの反対姿勢や飲料水のフッ化物添加に対する批判、エイズにまつわる陰謀論への支持などを理由に挙げ、保健福祉省長官への指名に反対した。 さらに食品医薬品局(FDA)や疾病対策センター(CDC)、国立保健研究所(NIH) など、同省傘下の各機関に対する批判も問題視。「本人のこれまでの記録を考慮すれば、ケネディ氏を保健福祉省の責任者に就けることは米国の公衆衛生を危機に陥れ、健康科学における同国の世界的なリーダーシップを官民の両部門で弱体化させるだろう」と述べた。 トランプ次期大統領の政権移行チームにコメントを求めたが、返答はなかった。 ケネディ氏は長年にわたり、米国内で最も有力な反ワクチン陰謀論者の一人として、ワクチンの安全性と有効性にまつわる虚偽を再三広めている。また州及び各自治体に対して、公共用水からのフッ化物の除去を正式に勧告すると公約している。 ケネディ氏は以前、エイズについて、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって発症するのではなく、薬物使用で免疫システムが破壊されることで起きるとの事実と異なる見解も公言していた。 またMSNBCとのインタビューでは、FDAの栄養関連の部局で職員を削減する意向も示した。 ケネディ氏の指名を巡っては、医師の権利擁護団体からも上記のような理由から指名を拒否するよう求める書簡が上院に寄せられていた。 トランプ前政権で副大統領を務めたマイク・ペンス氏も、ケネディ氏を長官に承認しないよう上院に要請した。ここでは人工妊娠中絶を支持した過去の言動を理由に挙げている。