【コラム】黄金世代の旗頭、大ケガ、大きな挫折…“サッカーの楽しさ”の体現者「人間・小野伸二」の姿とは | DAZN
足跡をたどる旅にも出た。生まれ育った静岡、世界にその名を知らしめたオランダ、そして絶望的な悔しさを味わったドイツ。しっかりと踏みしめながら足を運ぶそのその過程で多くの仲間に再会し、言葉を求め、誰の心にも鮮烈な印象を残したひとりのサッカー選手の本質に迫った。それを3つのエピソードに分けて構成し、オリジナルドキュメンタリー『SHINJI ONO』を完成させた。
作品を通じて浮かび上がってくるのは「人間・小野伸二」だ。 キャリアは決して順風満帆じゃなかった。天才は不意に現れ、黄金世代の先頭に立って大きな栄光を成し遂げた。しかし大ケガに行く手を阻まれ、大きな挫折も経験した。数え切れないほどのタイトルを手にしたわけでもなければ、一定の輝きを放ち続けたわけでもない。 それでも、小野は“サッカーを楽しむ”ことにこだわり続けた。「楽しみたい」「楽しんでほしい」と自ら何度も口にし、ピッチに立てば鮮やかなボールタッチでそれを体現してきた。 だから、サッカーを楽しみたいと思う人たち、彼のプレーを見たいと思う人たちからの期待感がしぼむことは最後までなかった。いつだって、誰よりも楽しそうにプレーする。それが小野だ。
サッカーを、心から楽しむ──。 小野には、なぜそれができるのか。彼がこだわり続けてきた“サッカーの楽しさ”とは、いったいなんなのか。 DAZNオリジナルドキュメンタリー『SHINJI ONO』。この作品で描かれている彼の姿に、その答えがはっきりと示されている。 文・細江克弥 1979年生まれ、神奈川県藤沢市出身。『CALCIO2002』『ワールドサッカーキング』『Jリーグサッカーキング』編集部などを経てフリーランスに。サッカーを軸とするスポーツライター・編集者として活動している。DAZNセリエA解説者。ジェフユナイテッド市原・千葉オフィシャルライター。