「日本は本当に大切なマーケット」 Discordが追求する“インクルーシブなプラットフォーム”としてのユーザー体験とは
過去最多となる985の出展社(国内450社、海外535社)を迎え、9月29日までの4日間の日程で開催された『東京ゲームショウ2024』(以下、TGS2024)。コミュニケーションプラットフォームのDiscordはTGS2024に出展し、コンビニなどの日本文化からもインスピレーションを得た「ディスコードポリス」をテーマとしたブースも披露した。 【画像】TGS2024にてお披露目された「ディスコードポリス」の様子 TGS2024への出展にあたり、Discordのグローバルパートナーシップ担当シニア・バイスプレジデントを務めるケリー・リャン氏が来日。リアルサウンドテックは会場にて行われた合同インタビューに参加し、今回の出展の意図や日本でのDiscordの現在地、今後求めていくものなどについて聞いた。(片村光博) ■存在感を増していくDiscord「もっとさまざまな形で体験をお届けできれば」 ――今回のTGSでは、Discordとして「ディスコードポリス」という展示をされています。プラットフォームとしての魅力の発信とダイレクトにつながらないようにも感じるのですが、展示の意図を教えてください。 ケリー・リャン(以下、ケリー):まず、2年前にも出展していたTGSに戻ってくることができてワクワクしています。ここ数年でDiscordは日本でも大きな人気を得るに至りましたし、日本のユーザーに最新の体験をお届けしたいと思っていました。「ディスコードポリス」のデザインやアクティビティは、Discordクエスト(※)のような最新機能を反映しています。 ※Discordクエスト:ゲームのプレイヤーがDiscord上でクエストを発見・受諾し、クリアすることによって、報酬を獲得できるシステム。『原神』では数百万人のプレイヤーがDiscordでクエストに参加し、7日間のキャンペーン中に『原神』のプレイ時間は83%も増加。Discordでのライブ配信も296%増加した。また、クエスト終了後も、数週間にわたり増加傾向の勢いは維持されたとのこと。 ――もともとコンソール文化の根強かった日本でも、PCでゲームをする文化が浸透してきました。この流れをDiscordとしてはどう見ていますか? ケリー:Discordのユーザーは多くがPCでゲームをプレイしていますが、ご存知のようにPlayStationやXboxといったコンソールとの統合も進めています。最終的に目指すのは、プレイヤーがどこでもいつでも、どのデバイスでもクロスプラットフォームの形でゲームをプレイできることです。われわれのみならず、プレイヤーのみなさんにもメリットをもたらせると思います。PCにゲームの軸が移りつつあるということですが、もともとPCでプレイしている方にとってもコンソールのプレイヤーともつながれることによって、選択肢が広がりますし、非常にワクワクしますよね。そのなかで、Discordを引き続きお使いいただけると思っています。 DiscordはPCのクライアントベースで始まったサービスではあるのですが、プレイヤーの方々もコンソールでプレイしながらPCやスマートフォンでDiscordを使う、といったケースももともといらっしゃいました。Discordは非常にインクルーシブな、さまざまなプレイヤーを包み込んでいくようなプラットフォームが実現していると考えています。 ――Discordクエストの導入によって、平均プレイヤー数が増加したということですが、目標として設定している数字などはあるのでしょうか? ケリー:現在、特に目標は設定していないのですが、これまでの取り組みから、キャンペーン等を打つことによってプレイヤー数の増加が見られることがわかり、「Discordでまたやってみたい」というパートナーさんもいらっしゃいます。ただ、なにをもって成功とするかという指標のようなものは(パートナーによって)それぞれ異なるとは思います。 われわれとしては、プレイヤーの数やプレイ時間の上昇が見られていますし、ほかの配信プラットフォームとは異なる点もあります。たとえば、ほかの配信プラットフォームでは友人の配信にいきなり入っていくということは基本的にできません。しかし、Discordなら見ているプレイヤーの配信に入っていくことが可能です。クエストを進めているからこそ、そういう出来事が生まれてくるんです。 ――Discordクエストは配信機能=画面共有を活用しています。プレイヤー側が同機能を活用している例などはありますか? ケリー:具体的な数字を出すことはできないのですが、フレンド同士での影響力が見られることは確かです。誰かがあるゲームをプレイして、配信しているのをフレンドが見て、「面白そうだからやってみよう」となる。そういう状況が高い比率で現れています。 クエストは現在、プレイをストリーミングして見せればいいという形になっていますが、実際にはフレンドがストリーミングでのプレイを見て、そこに入っていって一緒にプレイするという状況が多く見られています。 ――いまやDiscordは仕事でも使われる、普遍的なコミュニケーションツールとなりつつあるように感じます。今後数年間でのDiscordの目標や「こうなっていきたい」というビジョンがあれば教えてください。 ケリー:いくつかの視点からお答えできればと思います。まず、現在のDiscordユーザーはゲームをしているだけでなく、それ以外のときには学生だったり、子どものいる親であったり、音楽が好きだったり、アーティストとして活動されていたりと、いろいろな“ほかの顔”があって、いろいろな形でDiscordを使っていただいています。90%のユーザーがゲームをプレイしてはいるのですが、だからといって単にゲームばかりしているわけではなく、いろいろな方法でフレンドとつながっているんです。 ゲームのプレイヤーの方々に素晴らしい体験を届けていくということもしていきますが、そのなかでこれから焦点を当て続けていきたいのは、特定のDiscordユーザーではなく、ユーザーのみなさんにメリットをもたらすために、もっとさまざまな形で体験をお届けできればと思っています。なにかに特化してDiscordを使っている方が満足できるものを作れば、そのほかの多数のユーザーの方にもメリットがもたらされると信じています。 ――最後に、日本のDiscordユーザーに向けてメッセージをお願いします。 ケリー:日本は本当に大切なマーケットであり続けていますので、今回こうした形で来日できて非常にワクワクしています。日本のプレイヤーの方々、ユーザーの方々について、もっともっと深く理解できればと思いますので、さまざまなフィードバックをお待ちしています。
片村光博